理論・編曲

2009年6月22日 (月)

本当は超難しいプロムナード

「展覧会の絵」といえば、プロムナードでしょう。プロムナードだけ有名だという話も・・・
展覧会の絵は難曲として知られていますが、プロムナードだけ聴くと、最初の方だけだったら自分でも演奏できそうな気がしてきます。

ところが、別に速くもないのですが、メロディーをどう捉えて良いのかわかりにくいです。
「弁慶がな、ギナタを持って・・・」

譜面を買って来るまで、私はてっきりこう読んでました。
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「最初の1拍は休符だ。なんて画期的なんだ。ただ、途中で割り切れなくなるから変拍子で書いているのか、或いは拍子のマジックで同じ音型での表拍裏拍逆転の技を使っているのか?」

考え過ぎでした。

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冒頭のフレーズは、(譜面買って来て初めてわかった)拍子の指定から、上の図のように4楽節で読むのが妥当なのかな、と思います。一般的な「3+2=5拍子」→「3+3=6拍子」で読めます。
(1)「いち、にー、さん」
(2)「いち、にー」
(3)「いち、にー、さん」
(4)「いち、にー、さん」
こんな要領で・・・(2)の変拍子は譜面にすると難しいですが、テンポ速めにして(1)〜(4)をフラメンコでも踊る感じで想像してみると、意外と気持ち良いかもしれません。短く詰まった(2)「2拍目重視」から、その力の反動での(3)はもっと重視されます。

図の「K」は「コサック」で、ロシア系の「裏拍重視」が感じられる場面です。
同じ裏拍でも、左側の「K」は1音、右側の「K」は2つの音で、どちらもテンションは同じです。左側の1音の力を右側の2音で分け合う感じで。
カラヤン最後の来日の演奏で冒頭のトランペットが外していますが(3分半後ぐらい)、たぶん、(2)最後の実音Dを解放で吹いて、その次の(3)最初のCを下の倍音で吹き直そうとして、「コサックの裏拍」と「流れ上の表拍」の使い分けを意識した関係で、この何でもない音型を外してしまった・・・が真相かもしれません。

(4/22追記)実際に管楽器(フルート)で試してみると、フレーズ全体の中で、(2)からクレッシェンドをかけ始め、(3)最初のCをピークに狙うようにすると、プレイヤー的に満足感(曲を吹いている感じ)が得られるようです。上の演奏のトランペット奏者はきっと「気持ち良く吹いていた」のだと思います。それで、つい力が入って外しちゃった?

下のはイマイチ(?)な例。
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「ソーラン節」です。
これを避けたいために、「4+4+3」でも割り切れるのに、ムソルグスキーは「5+6」で書いたのだと思います。スラーが付いていてフレーズを指定しているし。
ソーラン節は北海道民謡。同じ北方系のロシア人にも同じリズム感があるのかもしれません。それと区別するために、あえてスラーや変拍子を書き、拍の表裏を指定したのだと考えられます。拍の表裏とは「五七調」と「七五調」の違いや「わっしょいわっしょい」と「せいやっ、せいやっ」の違いのことで、殆どの民族リズムは表裏両方を使い分けていると思われます。

(中略)

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これも、拍の取り方は同じです。
途中の(3)にオクターブの跳躍が出てきますが、高い音は頭拍じゃなくて「コサック」です。

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基本的に拍子通りで、「3+3 bar 2+2+2」と考えればOKかと。
下の青点線矢印みたいな捉え方もできるけど、基本的には赤の矢印のフィーリングで、なんとなくアクセント付けたくなる所は「コサックの裏拍」と考えれば良いと思います。

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ここは譜面通り。「3+2 bar 3+3」です。

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これも譜面通り。「6/4拍子=3/2拍子」の数え方をします。

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ここがクライマックスです。
本当はどうなのかはムソルグスキーさんにきいてみないとわからないけど、拍子の書き方とフレーズの具合が違っています。
しかも、途中で「拍感の逆転」が入っていると思います。(A)〜(B)、特に((B)は後半の伏線で、同時に主題の冒頭でもあります。(6)〜(7)の流れと(A)~(B)の流れを同時に感じながらの演奏になりますかね。
その後、(A)~(B)の流れが(9)~(10)の流れで具体化し、
(11)でだめ押しされます。(C)の流れも残ってるかもしれませんが、この場面では目立たないでしょう。

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主題です。
変拍子で書かれてませんが、冒頭と同じフレーズの取り方かと。
ムソルグスキーさんが変拍子で書かなかった理由は・・・急いでた?・・・というよりは、前からの流れを重視したかったんでしょうね。なので、(私にできるかはともかく)演奏は冒頭の主題を強調するよりも、(もちろん、主題を覚えてて)流れに乗って音符を弾くのが良いでしょう。

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2009年5月 6日 (水)

「展覧会の絵」を編曲する (その4:小人(地の精))

(5/18 譜面変更により加筆修正しました)

第1プロムナードの次に出て来るのは、「Gnomus」です。訳すと「小人(地の精)」です。
モチーフになったと思われる絵自体は参考ページにあります。
曲想は、かなりおどろおどろしいというか、サスペンスな感じで(実際の絵の感じも含めて)「これのどこが小人なのか?」と思います。必ずしも絵の単純描写じゃなくて、親友ハルトマンの死とムソルグスキーの心を写した曲だと思います。←もちろん、譜面を見れば見るほど、微妙な気持ちが痛いほどわかるのですが、「微妙」じゃ何もできないのでね・・・鑑賞と演奏の違いかもしれません。

というわけで、編曲するための勝手なストーリーとして、前回のRPG風に引き続いて「ダンジョン(洞窟)編」にします。
曲想も洞窟っぽいし・・・むしろ、ゲーム作曲家がムソルグスキーを参考にしてるんだと思いますがね。
「ノーム(Gnomus)、すなわち地の精(Earth elemental)の住む洞窟へ」といったところでしょうか。ノームの扱いはゲームによって違います。主人公側の種族の1つで、力は弱いけど謎解きや魔法が得意だったり、敵役の場合は雑魚だったりします。

ダンジョンに挑むパーティーは以下の21名です。
魔法使い:Flute(Saxに持替可), Oboe, Clarinet 各1名
賢者【甲組】:Horn2名, Trumpet2名(Flugelhornに持替可), Trombone3名(うち1名がEuphniumに持替可)
戦士【乙組】:Trumpet3名(うち1名がPiccolo Tpt.に持替可), Trombone4名
僧侶:Tuba2名(うち1名がElectric Bassに持替可)
武道家:打楽器2名

曲がりなりにも編曲できたので、フルスコア(C譜)へのリンクです。
コンピュータが演奏した音です。音が悪くてスミマセン。色々と事情がありまして・・・

というわけで、洞窟へ・・・♪ザッザッザッザッ・・・
【冒頭】
R090505pic1 のっけから「呪文系」のフレーズが出てきて、いきなり強敵です。この編成だと音域が低くなると「素早さ」が低くなり、この手の敵(フレーズ)は倒せないのです。そこで武道家(リズム隊)を使います。低音もエレキベースに持ち替えれば素早く演奏できます。「魔法がダメなら武道家で」はRPGの定跡ですな。短い音は鳴りにくいので、Trombone全員を投入しても良いのかもしれませんが、3小節目からのホルンのゲシュトップ(これもオケ編曲の定番)とのバランスが悪くなるかもしれないので、人数を乙組だけに絞りました。
 ちなみに、原曲の指示は「Vivo(快活に)」ですが、「快活」という日本語の語感と曲想の感じが微妙・・・ついでに、ソフトの不具合で日本語指示が打ち込めなくなったので、英語でWildlyにしました。

(参考)跳躍が苦手なTromboneやTubaは、原曲とオクターブ変えている場合があります。

【B】
 化け物の雰囲気が濃厚な中を、明かりを持った魔法使い達がこわごわと進んでいく様子か。少し跳ねて演奏すると良いかも。巨大な蚤のようなモンスターが所々でぴょんぴょん飛び跳ねてます。
【C】
 フルートの対旋律は筆者の創作です。魔女の笑い声のような、樹の精(気のせい)のような・・・
 グロッケンは、折角あるので使いました。木管の太めの音からグロッケンの怪しげな音に切り替えて演出します。途中で下声部の音域が足りなくなるので、木管とミュート付きTrumpetで補います。ミュートはストレートだ。緊張感ある場面ではカップよりストレートが似合います。

【D】
 呪文や攻撃が飛び交う戦闘シーン。
 途中で間を取らないで【E】直前まで一気に畳み掛け、最後に低音がデクレシェンド・・・。
 「シャーマン達は逃げ出した」

【E】
 RPGはともかく、ムソルグスキーらしいメロディーですね。
 イメージとしては、【F】2小節前みたいな「呪文系→敵の出現と戦闘」をしながら、できるだけ音を立てないようにしながら進んでいくシャーマン御一行様ってところ。奥に進むにつれて敵の出現頻度も音域も高くなっていき・・・そして・・・

(参考)
 B~Eまで、いかに音を色々な楽器に分散させるかがポイントになります。音楽性というよりも、できるだけ交代で休むようにパートを振ります。ただ、この場面ではホルン、ユーホニウム、チューバなんかが休みづらくなってます。
 また、指揮者なしでも通るように、テンポを2通りに整理しています。

【F】
「ギャーッす!」
 洞窟の奥深くでシャーマン達が見た物は?! (ご想像にお任せします)

(参考)
 2人しかいない打楽器を2人ともスネアに投入します。必殺「ダブルスネア!」
 声部は上と下の2声のみで、メロディーと伴奏がクロスするとイマイチのようです。上は上、下は下に。上のメロディーで最も高いG♭音はトランペットの高音域が届きません(シャーマンブラスの場合、B♭管でもピッコロ使用でもE♭音が限界で、その上も時々試みるのですが、なかなか当たりません)。この音域が出せるのはFlute, Oboe, Clarinet, Soprano Saxですが、FluteとOboeは(あるのとないのでは違うが)、音量と音色の問題で、単独で声部を作るのは困難です。最も強力なのはClaとSaxの組み合わせなんですが、コイツはどう考えても間違いなく100%音程合わんので、しかもロングトーンだし・・・撃沈確実。
 そこで、強力な方のSaxを使うことにしました。ただし、持ち替えが間に合うか?緊張の一瞬です。
 持ち替えに無理が出てきそうなので、フルートのままで行きます。その代わりクラリネットをオクターブ上げます。音程は何とかしましょう。

【G】
立ちすくむシャーマン達(Euphoniumのフレーズ)。 

それは、ゆっくりと動き出し、立ちすくんで動けないシャーマン一行に次第に接近し、そして・・・
「ギャーッす!」

(参考)
Euphの速いフレーズは、ホントに立ちすくむ可能性があるので、打楽器で補っています。
最後にaccelかけられると良いですね。素早さは仕方がないので無理は禁物ですが、イメージも重要です。
高音域で音程合わないClaとSaxですが、ここでは音が短いので、強引に突っ込みます。Oboeは本人が大変そうなのでオクターブ下にしておきます。
ここもSaxに持ち替えません。音程は・・・クラリネットがフルートをぶち抜いてくれればそれで良いです。

というわけで、いきなりゲームオーバー???
とまでは行かないまでも、私が思うに、この戦い、負けなんでしょうね。
全体のストーリーの流れで言うと、前半によくある、主人公のやられシーンかと。
組曲の中にサスペンス系はあと数曲出てきますが、どれもちょっとニュアンスが違うと思います。

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2009年5月 3日 (日)

「展覧会の絵」を編曲する (その3:第1プロムナード-2)

(編曲の著作権は筆者にあります・・・が、この譜面の需要あるとはとても思えんですが・・・)
そういえば、楽譜の下に書いてある "All right reserved(全ての権利がある)" の意味、最近まで知らなくて、「オーライ、リザーブ」って何だろうと思ってました。ボトルキープ???

まず、曲想の拠り所を考え直しました。

背景:中世ヨーロッパの「剣と魔法の世界」要するに、RPGにかぶれた寝不足オタク状態。

ある静かな朝、王宮の戦士バテッシはシャーマン国王ニコニコ1世に呼び出された(冒頭のソロ)。

王様:王国一番の戦士(事実)である君に頼みがある。・・・(内容は考えるの面倒なので省略)・・・
王様:君には2人のトランペットと4人のトロンボーン、そして、このチューバ吹きを家来として遣わす。不足かな?
チャンナベ(チューバ奏者):少しでも役に立てるように頑張るよ。よろしく。
王妃:貴方にこんな危険なこと頼んでゴメンナサイ。でも、今、この国を守れるのは貴方だけなのです(【A】)。
近衛兵:敬礼!(【A】)

バテッシ達は王宮を出て町を行進する。

バテッシの恋人:行ってしまわれるのですね。お気をつけて(【B】)。
バテッシの友人:おい、無事に帰ってこいよ!(【B】途中から)

そのとき、高らかにファンファーレが鳴り響く!

バテッシ:さあ、出かけよう、冒険の旅へ!

(つづく)

ムソルグスキーさん、ゴメンナサイ!
うーむ、このイメージの貧困さは、やっぱり子供の頃からのテレビの見過ぎ、ゲームのやり過ぎ・・・と国語の先生に怒られそう・・・でも、聴く方も演奏者も一部の貴族階級だけじゃなくて色々な人がいて良い、というのが国民楽派です。当たらずとも遠からずかもよ。

まぁ、曲がりなりにも編曲できたので、フルスコア(C譜)へのリンクです。コンピュータが演奏した音です。
音が悪くてスミマセン。色々と事情がありまして・・・
ところで、こうやってAMラジオみたいな音色で聴くと、やっぱり1980年代〜1990年代前半の帝国主義と社会主義を感じさせますね。やっぱり国民楽派なのです。

おっと・・・以下、解説です。

R090503pic1冒頭は、ラベルやPJBE(プロの金管アンサンブル楽団)の編曲にならって、お約束のトランペットソロで(1小節目など)。
こうしとかないとメンバーから苦情・・・いやいや、のっけから聴衆に色眼鏡で見られると辛いのでね。
「格言:最初は聴衆の想定をあまり超えない方が良い。意外性は後半に」
冒頭の8小節はソロと金管楽器の掛け合いにします。これもお約束。
テンポは遅めの80ぐらいが筆者の好みです(PJBEの演奏に近い)。でも、遅くするとますます仰々しくなりますね・・・ヒットラー、ルーズベルト、チャーチル、スターリン・・・お好みでなければ速めにして少し跳ねるとポップになるかね?
【理論一口メモ】
☆ハーモナイズはするのかしないのか徹底した方が良いです。ハーモナイズするときは、パート数で和音の数が埋められるようなら低音を除いて音域内を埋めてしまった方がきれいに響きます(3,4小節目)。
☆金管楽器のハモりの場合、和声の数より多いパート数の場合、原則として低音から複数パートにしていきます(高い音の方が響くため)。ただし、今回は和音の構成音と人数のバランスを考えてみました。←普段はやりません。ですが、指揮者が「なんでC音が1人しかいないの?」と不安になる場合があるようです(密集和声の場合は別に良いのですが)。
☆6,8小節目は、格好良いコードが見つからなかった。ハモりと言うより対位法と考えた方が良さそうで、原曲通りの音数です。
☆8小節目の最後の音のD♭音は原曲にない音。sus4和音で次のホルンに柔らかく繋ぐための、ちょっとした趣向です。
☆3,4,6,8小節目の合奏部分は、今回は乙トランペットの1stと2ndを重ねて、主旋律が聞こえやすいようにしています。(属人的でない吹奏楽の一般譜の場合は、トランペットパートが判断して1stを2人にすると思います)。
☆ソロは2nd,3rdの乙トランペットに陰譜があります。これは、1stの練習出席率が・・・じゃなくて、1stが後半のことを考えてピッコロトランペットを使った場合に、ソロはB♭トランペットの方が良いだろう、というわけで、2ndか3rdが代われるようにしています。

【A】(9小節目)からは、フリューゲルホルン(甲Tpt持ち替え)、ホルン、甲トロンボーンの組と、管楽器全体の掛け合いになります。
【理論一口メモ】
☆トランペットやトロンボーンは比較的固い音の楽器なので、変化を出すために、比較的音が柔らかい金管楽器をこのタイミングで起用します。ラベル編曲版だと弦に振られていて、本格吹奏楽だと木管を宛てがうのですが、シャーマンブラスだと少な過ぎて、8小節目→【A】でいきなりサウンドがしょぼくなって、イマイチな感じがしました。
☆トロンボーンも本当はユーホニウムが良いのだろうけど、無いものは仕方がない。いや実は、バストロンボーン奏者だけユーホニウムに持ち替えられるんですが、この場面ではトロンボーン3人でサウンドを作るため、ユーホニウムは使わずトロンボーン優先です。

【B】(14小節目)ではオーボエを中心に木管を使います。このタイミングなら場面転換で突然音量を激減させても大丈夫。
【理論一口メモ】
☆原曲(ピアノ譜)よりも発音数が少なく、和音が完結しないのですが、無いものは仕方がない。音が柔らかいホルンを伴奏に使う方法もあるんですが(なんちゃって木管五重奏)、ホルンを金管・木管両方の伴奏に全部使ってしまうと休めなくなってしまいます。

【B】の3小節目から、再度盛り上げ始めます。まずはホルンを追加、【B】の5小節目からトランペット甲とトロンボーン甲を追加して全体にクレッシェンドをかけ、乙組との掛け合いなんかも入れて、主砲である乙組に繋いでいきます。
【理論一口メモ】
☆音域の入れ替えが、ちょっと工夫しているところ。例えば、【B】時点ではオーボエが上目→途中でフルート上に入れ替える。低めに伴奏していたクラリネットも、理想的な「クラリーノ音域」に少しずつ持って行く。途中から入ってくるトランペットと、その前からいるホルンの音域の入れ替え、などなど。
☆クラリネットとホルンは音が溶け合うので、内声のハーモナイズで迷ったときはクラリネットとホルンを一緒にします。フルート(トランペットに輝きを与える)やオーボエ(トランペットに輪郭を与える)はトランペットと一緒が良いです。ただし、人数が同じ場合で、金管がじゃんじゃん鳴ってる場合はあまり意味がなく、休んだ方が良いかも。

最後の3小節は、後列に並んだ金管の乙組が先に演奏を始め、途中から前方に並ぶ金管甲組や木管を追加します。また、ここでベースと打楽器を登場させます。
【理論一口メモ】
☆別に理論じゃないんですが、流れのバランスの取り方の屁理屈です。
 まず、後列から演奏を始めるのは「フラクタル(自己相似)」を意識していて、曲全体として「乙組→甲組」の順番なので、最後もその形にします。
 次に、この「第1プロムナード」は組曲「展覧会の絵」全体の序曲になります。なので、打楽器やエレキベースも1回は登場させておきますし、木管だけの場面なんかも作り、この後出てくる色々な場面を予め盛り込んでおきます。

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「展覧会の絵」を編曲する (その3:第1プロムナード-1)

(色々な編曲がありますが、とりあえずムソルグスキー本人のピアノ版(全音のピアノ譜)を主に参考にします)

さてさて、「展覧会の絵」は、10枚の絵の名前が付いている短い曲と、「プロムナード」と呼ばれている序奏(展覧会の絵と言えば「あれ」のことです)が5回出てきます。

この「プロムナード (Promenade) 」が何なのかというと、フランス語を直訳すると「散歩」です。また、ホールの外で、通りすがりの人が自由に聴ける演奏会のことも指します。


展覧会の絵の場合、半年前ぐらいに急死したハルトマンの遺作展に足を運んだムソルグスキーが、美術館の中を歩いている姿だとも言われています。
私のイメージは・・・
 ある朝、ムソルグスキーが郵便受けを開けると、1枚の案内状が入っていた。
 「『ヴィクトル・ハルトマン遺作展開催中。ペテルブルク美術アカデミーにて』・・・か・・・。行ってみるか・・・」
 ムソルグスキーは外套を身に着け、ややうつむき加減に歩き出した。

ただし、このイメージ、ちょっと違ってるようでして・・・

最初の曲想指定は "Allegro guisto, nel modo russico, senza allegrezza, ma poco sostenuto" 訳すと「速く正確なリズム感で、ロシア風に、でも跳ねないで、少し音を長めに」だそうです。のっけから難しい注文ですな・・・
それより、私のイメージともちょっと違います。他人が作曲者本人にケチ付けるのもアホな話ですが、私はもっとゆったりしたイメージを持ってました。
そして、手元の演奏例の多くが妙に速いテンポでサクサク進めてるのか判明しました。答えはカンタン!「譜面にそう書いてあるから」でした。

うーむ・・・最初から調子が狂います・・・
(以下、根拠はないけど)
この曲の本質はハルトマンへの鎮魂歌なんだと思います。ただし、そこは事情があって、ムソルグスキーはこの曲を自分で管弦楽に編曲して売る気だったのでは?難解なピアノ譜は複数の楽器を想定したスケッチだったのかもしれません。
その点で、1つは、ホントに野外演奏を想定した「プロムナード」だったのでは?
であれば、フォルテで始めないと、演奏開始が道行く人にわかりにくく、拙い。
もう1つは、イデオロギー色の強い国民学派が渦巻く(というか自身も国民学派)当時のロシアにおいて、のっけから「鎮魂」みたいに景気悪い曲だと、売れないどころか非国民楽派になっちゃいます。本人的にこれは拙い。

ですが、現代日本でアマチュアがホールの中で演奏するなら、ゆったりやっても良い気がしてきました。
というわけで、テンポはちょっと遅めな80を想定します。

・・・ただ、今、ふと思ったのだけど・・・
「やっぱり、モチーフがあまりにも深刻すぎる。少なくとも筆者は、『親しい友人の死』をテーマに演奏、と言われても何もできない典型的日本人であります。もうちょっと具体的に想像しやすいイメージが要りそう」

具体的な編曲については、次回に続く。

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「展覧会の絵」を編曲する (その2:曲の背景)

「ぅおっほん!そもそも、私の考えでは『展覧会の絵』というものは・・・」

でも、その前に・・・アマチュアミュージシャンとしての経験上・・・
曲のコンセプトにこだわり過ぎると、かえって上手く行きません。
1つは、直接的な技術向上にはコンセプトは役に立たない。頭でっかちに注意!
もう1つは、学生さんはともかく、大編成社会人バンドの場合、個々のメンバーが何を考えるかまで指定できないです。

という保留付きで・・・

でも、実際にある音符や参考演奏からかけ離れない範囲で曲のストーリーを考えたり語り合ったりするのは楽しいものです。そして、合奏に効果あるばあいもあるかも・・・自分の編曲作品に物語を付けてから、バンドが瞬く間に上手くなってしまったこともあるし・・・

さてさて、「展覧会の絵」なんですが、とりあえずタイトルが紛らわしいですな。
曲を聴く限り、単純な標題音楽でも描写音楽でもないようです。
「なんでこの絵でこんな曲想なの???」的な曲がいくつかありますから。

「写実」がキーワードになると思います。
写実とは、必ずしも精密な描写を意味するのではなくて、「理想や主義主張じゃなくて、現実をそのまま表現する」ってことです。そして、その「現実」には、作者の心の中も含まれます。例えば、展覧会に行って裸婦を見て「おぉ、これは素晴らしい芸術だ・・・」(と本当に思う殿方もいらっしゃるとか思いますが)と言わずに、「何故か動画より萌える、なんでだろう?」とか、ホントに思ったことをそんまんま表現しちゃうのが「写実」であります。
注:社会道徳に対する「(宴席でビール片手に)やってらんねーよ!」的な、偽悪とは限りません。ポジティブだろうがネガティブだろうが、ホントにまんまのまんまが「写実」だと思います。ですが、社会道徳と異なってた方が目立って面白いので、偽悪やイデオロギー論が残りやすいんですがね・・・おどろおどろしいほうが評価されやすい。これが写実の面白いところ。

さて、ウィキペディアなどなどの情報から察するに、ムソルグスキーが音符に写そうとしていたのは・・・
「作曲家ムソルグスキー(1839-1881)の壮年期に懇意にしていた友人がいた。彼の名はハルトマンといい、年齢はムソルグスキーの5年先輩(日本みたいに厳密な年齢の序列がなければ「同世代」)で、職業は安っぽい画家。ところが、1873年にハルトマンは動脈瘤で急逝してしまいます。その翌年、ムソルグスキーはハルトマンの遺作展に足を運んだ。そして、その半年後、ムソルグスキーは、2,3週間という、仕事が遅い彼にしては驚異的な早さで組曲を書き上げた」

見えてくるのは、親友の死の悲しみ、親友の病気を見抜けなかった後悔、そして何よりも「もがり」ですかね。「もがり」とは、1年ぐらい遺体を葬らないで地上に安置しておき別れを惜しむ古代日本の風習のことです。現代の「喪中」は「もがり」の名残で、この世に残された人間が事実を受け入れる時間が要るのだと思います。
きっと、イザナギがイザナミの本物の死体を見て神話を作ったように、ムソルグスキーはハルトマンの遺作を見て、本来は人間の心の中にだけ、しかも、故人の情報を共有することがない、当然本人死んでるので追加情報の提供がないので、人それぞれの、決して他人には通じることがない「もがり」を、楽典を借りて写実しちゃったのです!

たぶん・・・じゃなくて、責任を持って続く!

「展覧会の絵」そのものは、以下のページで見ることができます。
http://www.asahi-net.or.jp/%7Ewg6m-mykw/Library_Mussorgsky_Exhibition.htm
http://www.toshima.ne.jp/%7Ebenno/kaisetu/38th/

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2009年4月30日 (木)

「展覧会の絵」を編曲する (その1:条件)

またしても、超マニアックシリーズの始まりです。
その内容は、表題の通りであります。
企画倒れには絶対なりません。ノルマなので・・・

「ぅおっほん!そもそも、私の考えではムソルグスキーとは・・・」

でもその前に、編成であります。

指揮者なし
フルート or ソプラノ・アルト・テナーサックスのうち2本使用可×1名
オーボエ×1名
クラリネット×1名
ホルン×2名
トランペット×5名(うち、2名がフリューゲルホルン使用可)
トロンボーン×7名(うち、1名がバストロとユーホ使用可)
チューバ×2名(うち、1名がエレキベース使用可)
打楽器×2名
(ドラムセット1台、ラテンセット1台、その他小型打楽器使用可)
(ただし、スペースの関係でティンパニ4台とかは無理)

とっても滅茶苦茶な編成なのですが、「演奏したくて集まっている人たち」なので、増やす気も減らす気もありません。いわゆるひとつの「アマチュアリズム(トーシローなリズム感のことではない)」です。いる人で演奏するための編曲です。

さてさて、演奏中は以下のように並びます。
R090430pic1
上記のような感じで、フリューゲルホルンやユーホニウムを上手く使っていきつつ、場合によっては多数のトランペットやトロンボーンをまとめて使っていこうという考え方です。人数が少ない木管は前、全体の編成に比べて大きな音を出せる低音や打楽器は後ろに、リズムの要のドラムセットは真ん中です。

問題は、「フルート or ソプラノ・アルト・テナーサックスのうち2本使用可×1名」が何を使うかなんですが、多数の金管楽器の中にオーボエとクラリネットが1人ずついるので、木管群のまとまりを出すために、同じ小音量木管であるフルートをメインに使います。
それで、1本だけ使えるサックスをアルトにするかソプラノか?
展覧会の絵のラベル編曲版ではアルトサックスが使われていて有名です。ですが、上記編成だと全体が下膨れで、アルトサックスの音域をカバーできる楽器はいくらでもある。全体の編成の中で使い勝手が良いのは、トランペットの上の音域をトランペット並の音量で実現するソプラノです。なのでソプラノにします。
「古城」のソロがヤバいけど、譜面を見直したら音域はぎりぎり届くみたいです。
そして、ラベル版を聞いた人から苦情続出だろうけど「古城をソプラノで行くのもアリかな」と思いました。ダークな感じで・・・

それと、ドラムセットが使えます。
クラシックでは通常ドラムセットを使いませんが、打楽器が2人しかいないので、ある物は使うに限ります。クラシック的見地から見た場合でも、ドラムセットにも良い面があって、1人で複数の打楽器を同時に扱うことによって、一体感のあるリズムを叩き出すことができます。ましてや指揮者がいないわけだし、ドラムセットをどう生かすかで編曲の出来が決まると言っても過言ではありません。

さてさて、編曲開始です。

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2009年1月17日 (土)

マンボのビート

演奏関係の業務連絡です。

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「♪釣れたぜマンボウ」の拍感はこれです。アドリブの参考にして下さい。

「♪鯛に生簀」みたいな派手なサルサ系のクラーベとはちょっと違いますが、穏やかな(古き良き?)マンボ系ラテンの基本的な拍子の感覚です。

ウィンドファクトリーの皆様、筆者は今回参加しませんが、合宿の健闘を祈ります。応援してます。

ついでに、ウィンドファクトリーは2月22日に演奏会をします。是非是非、一目置いて、いや、ひとめ見て頂ければ幸いです。

ウィンドファクトリーはポップスが得意な吹奏楽団と言われてますが・・・最初からポップス指向だったわけじゃないです。単に派手に吹けば良いというわけでもなく、こうしたちょっとずつの研究の積み重ねは、今までもやってきたし、これからもやっていくことだと思います。

・・・さて、派手に行きますかね???

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2008年11月28日 (金)

業務連絡

最近本業・副業ともに忙しくて・・・それはともかく、同楽団の同業者の質問に回答してみます。
(理論的な「理由」は・・・予定は未定、とにかく曲が通るように頑張りましょう・・・)

質問の内容は「譜面のアーティキュレーションをどうするか?一番最後の音符」でした。
曲は仮に「待って!蚊!」としておきます。

図は概念図です。物理的にあり得ません(理学部出身同士の概念図でのやりとりです)。当事者以外の読者への念のため、吹き方は羊羹のような単調なテヌートでなくて、各音で自然に頭を突くのを忘れずに!

(1)への回答。

M081128pic1たぶん、参考演奏のGokigen Robot KatoP Bandはこうやっているみたいです。どっちみちベースやピアノなので音は減衰します。さらに、次の音を弾くために構え直す必要があります。


M081128pic2管楽器で自然に吹いてこれを再現すると、左のようになります。減衰まで表現する必要はないような気がします。


M081128pic3そうであれば、これで良いかもしれません。


M081128pic4)最後の音を短くしたい場合は、短い分を音量で稼いで下さい。


M081128pic5イマイチな例。裏拍もしっかり吹いて下さい。


(2)への回答

M081128pic6たぶん、参考演奏のGokigen Robot KatoP Bandはこうやっているみたいです。ここは管楽器のメロディーなので、息を吹き込んでテヌート可能です。4拍目裏々に音がないのは、次のフレーズの装飾音を目立たせるためかと思われます。


M081128pic7もしくはこんな感じで、頭を突いた後で故意に引いても構いません。ただし、マルカートじゃなくて、引いた音量を最後まで保つこと!むしろ音の最後にクレシェンドして突き直すぐらいの感じで。


M081128pic8装飾音が蹴散らされるのが若干気になりますが、これもアリです。
実は、参考演奏のGokigen Robot KatoP Bandってマニア筋からの評判がイマイチで、「これは軽過ぎてJazzではない。ポップスだ」との世評のようです。なので、濃厚に演奏したければこれが良いでしょう。


M081128pic9もちろん、頭を突いてからすぐに引いても構いません・・・が、ちとわざとらしいか???


M081128pica最後の音を短くしたい場合は、短い分を音量で稼いで下さい。


M081128picbイマイチな例。
細かいアーティキュレーションがどうであれ、最後の音はフォルテです。頭拍にアクセント付けて引いちゃうのが最悪のケースです。


(追伸)
ウィンドファクトリーは、1音1音研究しながらステージを作っています。是非、演奏会に来て下さい。2009年2月22日、タワーホール船堀(江戸川区総合区民ホール)の大ホール です。よろしくお願いします。

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2008年10月15日 (水)

ゴージャスにハモろう(目次)

※過去の記事の目次です。

※ ことごとく楽譜と理論が出てきます。苦手な方、スミマセン。

情熱的なアドリブや不協和音のぶつかり合いのカタルシスも捨てがたいけど、一応、合奏をやっている人間としては・・・

高級感溢れるゴージャスなハモり!
いやー、憧れますな。
というわけで、ゴージャスなハモりを自作する研究をしてみます。

※過去の記事の目次です。

その1:はじめに
その2:人数と音域
その3:理論
その4:実例(イントロ)
その5:実例(Aメロディー-1)
その6:実例(Aメロディー-2)
その7:実例(サビ-1)
最終回:サビの終わりに

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ゴージャスにハモろう!(最終回:サビの終わりに)

※ 楽譜と理論が出てきます。苦手な方、スミマセン。

前回から間が空いてしまいましたが、一応最終回のサビの終わりに。

ここから先、特段の技法を使っていません。
今までのような、和声対位を無視してメロディに音を重ねてゴージャスにハモることはありません。
(「こっそりメロディー2馬力」は管楽器アンサンブルの有力なテクニックというのは今回勉強になりました)

一応、今回のログ全体のコンピュタの演奏.mp3です。

紙面の都合上、譜面は切って示します。

R081014pic1
一応、補足説明:全体の音量がピアノの中、内声のアルトとテナーが頑張ってます。
広い音域を上下していたバリトンが端正なベースラインに戻り、アルトがメロディーに寄り添うようで独立したような対旋律を吹き、テナーは跳躍続きの譜面で1人何役もやってます。このシーンは、ぜひ本物のSax(mp3:最初から)で聴いて頂きたい。
♪「今は、もう、動かない、その時計」のところです。我ながら、アルトとテナーのつなぎの「音色の流れ」が、お互い凄くわかっていてやり取りしている感じ。それまで濃厚に歌っていたテナーが和らぎ、それまで内助の功に徹していた2ndアルトが強弱を付けて、その交わる点でのつなぎ。この一瞬の「感じ」は、プロでもアンコンの全国大会でも聴けないと思う。カッコいい!
ちなみに、内声の2人は千葉大の(入学の)同期です。数年ぶりのセッションなんですが、「こんなにピッタンコなんすね・・・二十歳の頃に同じ釜の飯を食った(いや、同じ樽の酒を飲んだ?)人間同士・・・うーむ・・・」

理論上は、特段の禁則はないと思います。
あ、最後の小節で、理論編で「真ん中のCの下のFより下の音は1つ以内」を無視してますが、本格理論だとセーフです。
R081014pic2
たまたま見つけた理論のページ(英語)からの引用です。
今回はセーフですが、仮にアウトだったとしても、管楽器の低音同士の違う音って、本当は文化人類学的に心地よいのではないでしょうか(複数の男性が地声で談笑している声:人数いるので心強い)。

R081014pic3図1の続きです(アウフタクト重複)。
ここは無伴奏ソロ。
いい加減ゴージャスにハモったのでここはソロで変化をつける・・・のではなく・・・1stアルト奏者とは暫くのお別れです。サビの終わりに涙。短い期間だったけど、コンクールからの1ヶ月半の間、いいセッションになったのは1stアルトの存在も大きかったと思います。

F081014pic4
アーメン・・・一期一会・・・同じ演奏は2度とできません。楽しかったです、そして、これからも、少なくともこのセッションと同じぐらいの音に楽しい演奏をしていきたいです。できれば、再び同じ人間と・・・
もちろん、違う人が今後、同じ人の過去の演奏よりも良い演奏を目指すことは言うまでもありません(頑張ります)。でも、同じ人がいれば未来の演奏が違ってくるのも、言うまでもないことだと思います。
「私たちには何の違いもない。でも、誰も同じではない」(by Wind Factory サックスパート一同の気障なセリフ)

おっと、話を戻します。アーメンについて。
下属和音(ドファラ)から主和音(ドミソ)への進行を「協会進行」と呼びます。これで見事、曲が終わっちゃいます(人生も終わっちゃいます???)。編曲は、あまり全体を動かさずにアルトの1,2だけを軽く動かす感じで、テナーとバリトンは同じ音で・・・きっと、これから同じ釜の飯を食う(いや、同じ樽の酒を飲む?)低音群の人間として・・・


(追伸)
あんまり理論になってなかったような気はしますが、何となく「カルテットで4人がそれぞれのラインを弾き、全体の流れを作っている感じは伝わったでしょうかね???」

いったん終わりです。全部読んでくれた方、有り難うございました。さらに精進します。

前:その7:実例(サビ-1)

目次(別ウィンドウ)です。

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2008年10月 6日 (月)

勿体つけよう!

※ 楽譜と理論が出てきます。苦手な方、スミマセン。

ゴージャスにハモろう!のちょっと脇道。

アンサンブルの魅力には、ゴージャスにハモることの他に、奏者独自の判断でテンポを揺らす「勿体つける」演奏があります。編曲云々よりも、むしろこちらが真骨頂かもしれません。
確かに、まずはテンポをキープするのが西洋音楽の基本ではありますが、洋の東西を問わず聴衆は「揺れ」に富んだ演奏を心地よく感じるようです。

というわけで、揺らしましょう。
クラシックでリタルダンド(ritardando, rit.)とかフェルマータ(fermata)とかテンポルバート(tempo rubato)とか指示されるものですが、日本語で言うと「勿体つける(con mottai)」といったところでしょうか?

さてさて、見本の楽譜はこれ。
R081005mottai1
楽譜が見づらいですが、クリックすると原寸大のが別ウィンドウで開きます。
伏せる理由は全くありませんが、とりあえず曲名は「嗚呼!!花の円舞曲」とでもしておきます。

これをコンピュータで演奏すると、こんな感じです(文字がmp3にリンク)。

(当然とはいえ)お上手ですね。でも小学生みたいです(小学生にクラリネットやホルンが吹けるかはともかく・・・あ、小学時代の私はこの譜面ピアノで弾けます・・・ただし今は弾けません・・・廃忘・・・

これを大人っぽくするためには、やはり「勿体つける(con mottai)」に限ります。
「嗚呼、今宵も・・・下手だねぇ・・・(演歌の花道)」
とはいうものの、合奏は難しいのですよ・・・
R081005mottai2
楽譜はmp3にリンクしています。
(アウフタクトを除く)3小節目でピアノがリタルダンド(rit.)をかけて、その次の小節でクラリネットがさらに遅くして、最後の音でタイミングを取って(フェルマータ:合奏なので合図を出して)、5小節目で合奏全体が元のテンポに戻ります。
ま、これでも悪くはないですが、フェルマータがワルツの流れを切ってしまっているような気がします。

よほどのことが無い限り、ビート感を切らないのが普通のクラシックやジャズの流儀です。
(テンポが変わっても拍子の感覚を持ったまま速くしたり遅くしたりする)

そこで、もうちょっとスマートなやり方があります。
R081005mottai3
楽譜はmp3にリンクしています。
譜面の数字はテンポですが、勿体つけてから、元に戻る前に再び加速して元のテンポに戻ります。

ついでに、もっとアンサンブルっぽい、手の込んだやり方。
R081005mottai4
楽譜はmp3にリンクしています。
上段の譜面でクラが加速していますが、完全に元のテンポ(a tempo: 180)ではありません(そこまで急ぐと格好悪いです)。そこで、クラリネットの次のメロディーのホルンがテンポを引き取って加速し、元のワルツテンポにするやり方です。毎回これだと気障かな・・・

さらに、
R081005mottai5
楽譜はmp3にリンクしています。
クラリネットの次のメロディーのホルンがテンポを引き取って加速するところまでは一緒ですが、どさくさにまぎれて前より速くしちゃってます。こんな感じで、隙を見てテンポを操作できます。もちろん、180より密かに遅くする表現もあるでしょう。

蛇足ながら、

R081005mottai6
楽譜はmp3にリンクしています。
(アウフタクトを除く)2小節目のメロディに注目。譜面だと上手く書けませんが、1拍目の音を長くのばして、残りの連符を速めにして小節の中で1人だけ揺れを作る「1人時間差」です。
記譜に限界があり、演奏が何となく不自然ですが、1つの考え方として見て下さい(たぶん、1拍目をためてからその他の音符にaccel.かける感じで吹くのかな)。
もちろん合奏です。カラオケではありません。なので、伴奏を無視するわけじゃなくて、伴奏を聴きながら違うことをやり、どこかで再び伴奏と一緒になろうという意識を持ちながら羽ばたきたい。
強弱なんかもつけたりして・・・譜面に書いてなくても、ソロや合奏でのメロディー組はこのぐらいやりたいですな。そして、それに伴奏がよろめいて勿体つける瞬間が、アンサンブルで一番面白い場面なんだと思います。
あ、よろめくのは良いですが、元に戻すタイミングのことをを頭の片隅に残すように・・・メロディーも伴奏もです。

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2008年9月26日 (金)

ゴージャスにハモろう!(その7:実例(サビ-1))

※ 楽譜と理論が出てきます。苦手な方、スミマセン。

さてさて、サビに行きます。

その前に前回の引用。
アンサンブル(1人が1個ずつ音を弾いている)なので、個々の音でその都度ハモろうとするよりも、それぞれの楽器が方向性を持ってフレーズを吹いて、それが結果的に流れを作っている状態がゴージャスなハモり七日も知れません。
引用終わり。

というわけで、禁則どーのこーのは辞めて、ダイナミックな流れを作ることにします。

R080925pic1
メロディーは1stアルト。コードはこんなもんです(どうせ後で微妙に変わるので、テキトーに流れだけ考えておきます)。

これに伴奏を付けます。伴奏は、伴奏する人の気持ちになって。
G080925pic2
譜面の数字は、和音の第○音という意味です。「NH」は非和声音(Non-harmonic note)です。

こうやってコードを決めるポイントを減らして、経過音を自由に書いて行くと、どこも悪いところが無い、いや、気づかない、というか、ゴージャスにハモりますな。
実際に使用した楽譜に細かい表情記号は書きませんでしたが、それぞれが自然に吹くとこうなるかな。

ただし、多少の記譜ミス有り。
奏者はパート譜しか見ないので、下行形で盛り上げたいときはクレッシェンドを書かないとわからないかも。
ホントはこうやりたかった。
R080925pic3
画像がmp3にリンクしてます。
譜面の数字は、和音の第○音という意味です。「NH」は非和声音(Non-harmonic note)です。

伴奏のこだわりを解説します。
(ア) 1stアルトのメロディーを2ndアルトだけで支えます。
(イ) バリトンの出番。高い音から一気に音階を駆け下り、よりゴージャスなハモりの世界に誘います。この時クレッシェンドをかけたかった。
(ウ) テナーの出番。バリトンが上を行っている時に、その下から跳躍で駆け上がってアルトも追い越します。その後はバリトンと3度でハモりながらゆっくり下ります。
(エ)2ndアルトの、低音への大きな跳躍からの上行形。テナーとバリトンがダイナミックな音域異動をしているのに対して、終始2ndアルトはそのギャップを埋める感じですが、ここで密かに大きな表現をしています。
(オ) バリトンの最低音。(イ)からの流れで「これをやりたかった」という、この編曲のコアの部分。
(カ) テナーの跳躍、というか、突然フレーズの系統やハモりの役割を変えると、人数が多く聞こえます。音域の音色が均一なSaxならではの、ゴージャスなハモりを演出するテクニックです(奏者のテクニックも)。

もはや、細かいことは気にしません。所々でゴージャスな理論に乗っかってさえいれば、その間の紆余曲折は、理論にこだわらずに奏者が歌いやすい譜面を作れば良いのです。
それで、各奏者の音形が平行だったり反行だったりしながら、ダイナミックレンジの微妙な時間的ずれが出来て複雑な絡みが出て、これぞカルテットの醍醐味だ!

ただ、上行形は(歌心ある)メンバーが勝手にクレッシェンドかけるだろうけど、下行形でクレッシェンドをかけるところは、譜面に書かないとパート員がわかりませんね。これは、記譜上のちょっとした注意点かも。

おかげで、実際の演奏(.mp3)でメロディー沈みしてしまった。某テ○ー奏者兼編曲者が暴走してるんですがね・・・これも指示不足というか、リハ不足・・・やっぱり合奏練習でこういうところを合わせて行くのは楽しいと思います。

それと、バリトンのフレーズのフィーリングの関係で、3小節目の頭でスラーを切ったのはイマイチな書き方だったかも。全体の流れは、3小節目に向かって膨らませる感じなんだけど、バリトン奏者はここでフレーズの終わりと考えて、デクレシェンド気味に吹いてしまうかも。
ついでに、3小節目から4小節目にかけてバリトンの音域が狭めで、今までの流れから続くと、ちょっと歌いにくいかも。

R080925pic4
画像がmp3にリンクしてます。
譜面の数字は、和音の第○音という意味です。「NH」は非和声音(Non-harmonic note)です。

この方が良かったかな???
でも、個人的には当初案(というか、実際に演奏したもの)が好きです。

次:最終回:サビの終わりに
前:その6:実例(Aメロディー-2)

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2008年9月24日 (水)

ゴージャスにハモろう!(その6:実例(Aメロディー-2))

※ 楽譜と理論が出てきます。苦手な方、スミマセン。

前回のバリトンのメロディーの続きで、
ウィンドファクトリー浦安ファミリーコンサートの「パート紹介」に使う関係で、曲中にアルト、テナー、バリトン3種類のサキソホン全部にメロディを宛いたいところです。音が高いので編曲しやすいアルトは最後まで残しておいて、次はテナーのメロディーにします。

メロディーが内声にいるので、ちと難しいところなのですが・・・

考え1. バリトンは独立した別パートである。なので、アルト2人のハモりとバリトンのベースを考え、テナーと他の3人の間の禁則は気にしない。
考え2. テナーもゴージャスにハモるカルテットの一員としてメロディーとハモりを兼ねる。テナーと他3人もなるべくハモるように。

今回はゴージャスにハモるのが方針なので、考え2で行きます・・・のつもりでしたが・・・

R080924pic1
画像がmp3にリンクしてます。
譜面の数字は、和音の第○音という意味です。「NH」は非和声音(Non-harmonic note)です。

1stアルトは、何となく前回の雰囲気を保ちながら、さびの前の収束に向かうようなメロディーのデザインで。具体的には、前回の繰り返しから、後半でそっと下行形に移る感じで。
バリトンは全部の4分音符を吹いちゃうとジャズのベースになっちゃうので、時々休みながら8分音符も交えつつ、一緒に流れて行く感じで。

相変わらず間違い(?)だらけっぽいですが・・・

問:(ア) 根音なし&「2ndアルトの9って何?」

復習します。元のコードはF7なんですが、その根音(F音)を9thのG音に換えると、Am7♭5のサウンドになります。これはひどい不協和音でもなく、ゆらゆらとした響き。復習終わり。
何故こうするのかというと、パートの流れで、テナー(メロディ)、バリトンが音階的な動きをしていて1stアルトが(ア)のタイミングで3度の跳躍をしている。その時2ndアルトも一緒に跳躍しちゃうとアルトが目立っちゃう。なので、2ndは小さく動いて当たりを緩和するのです。

問:(イ) 第3音なし&2ndアルトとテナーが平行5度

メロディーのテナーが第4音(B♭音)を弾いているので、第3音は邪魔です。コードで言うとFのsus4(F音、B♭音、C音)の響きです。「sus4」とは、第3音(A音)の代わりに第4音(B♭音)を使った和音です。2度系の不協和音です。平行5度も、メロディーと伴奏は別パートですから(何か、凄くご都合主義っぽい)

いや実は、直す手もあるのですが、

F080924pic2
画像がmp3にリンクしてます。
譜面の数字は、和音の第○音という意味です。「NH」は非和声音(Non-harmonic note)です。

確かに禁則ないけもしれないけど、これじゃ肩が凝るというか、曲が終わっちゃいます。
私のフィーリングだと、ここは柔らかい和音が良いと思うのですね。元のが好き。

続けます。

問:(ウ) 何故B♭majorじゃなくてB♭7なの?この臨時記号は?何故A♭音が出てくるのか?

「ジャズ理論だと、あらゆるコードは7thコードに変換できます。文句ありますか?」
「しかも、B♭7は次のコードE♭への属7和音(Dominant 7th)です。何か拙いですか?」
建設的な答
2ndアルトのフレーズを先に考えてます。次の(エ)のところで臨時記号がないと「曲が終わっちゃいます」そこで、導音(A音)を使わないスケールを選んでみました。その関係で、全体のサウンドがA音に♭を付ける感じになってます。

問:(エ) このNHK特集みたいな不協和音は?
気にしないで下さい。経過音です。

問:(オ) 第3音が重なりますが(禁則)?しかも平行8度

メロディー絡みだから問題ありません。変にハモるとメロディーまでゴージャスなハモりに巻き込まれて曲がわからなくなります。2ndアルトがテナーに寄り添って低めのサウンドでテナーと3度でハモる動きをしたタイミングで、1stアルトがテナーをそっとサポートしているのです。

問:(カ) E♭m7って何ですか?

音名は「E♭、G♭、B♭、D♭です」。気にしないで下さい。経過音です。

問:(キ) 根音なし&「2ndアルトの9って何?」

復習します。元のコードはF7なんですが、その根音(F音)を9thのG音に換えると、Am7♭5のサウンドになります。これはひどい不協和音でもなく、ゆらゆらとした響き。復習終わり。

問:(ク) 1stアルトの♭9って何ですか?

気にしないで下さい。経過音です。

根本的答
(カ)〜(ク)にかけては、伴奏が半音の動きで流れています。
半音単位で行く進行もあります。本企画は理論講座じゃないですが、半音進行のサウンドの存在を認識した段階で、半音単位で編曲したりアドリブしたりできるのでは?・・・その場合、禁則の類いは表面的には忘れて下さい。

問:(ケ) ・・・・
:第3音の代わりに第4音を弾いているのがsus4コードです。メロディーがその調の主音をロングトーンしている時に他の3人でB♭音とぶつかってしまうA音を使わずに終止形を作ろうとA以外の属7和音(F音、C音、E♭音)を弾くと、F7sus4のサウンドになります。

まとめ(?)
アンサンブル(1人が1個ずつ音を弾いている)なので、個々の音でその都度ハモろうとするよりも、それぞれの楽器が方向性を持ってフレーズを吹いて、それが結果的に楽曲の流れを作っている状態がゴージャスなハモり七日も知れません。

次:その7:実例(サビ-1)
前:その5:実例(Aメロディー-1)

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2008年9月23日 (火)

ゴージャスにハモろう!(その5:実例(Aメロディー-1))

ゴージャスにハモろう!(その5:実例(Aメロディー-1))

※ 楽譜と理論が出てきます。苦手な方、スミマセン。

さて、いよいよメロディーに入ります。

まず、決めなければならないことは、当たり前ですが、誰をメロディーにするか?ですな。

ところで、この譜面はウィンドファクトリー浦安ファミリーコンサートの「パート紹介」に使う関係で、曲中にアルト、テナー、バリトン3種類のサキソホン全部にメロディを宛いたいところです。
なおかつ、曲全体としてゴージャスにハモることが今回のテーマ。なので、後半に1stアルトをメロディーにして、ここ一番でゴージャスにハモってみたい。
そこで、最初は軽く低音でジャブ、ということで、バリトンのメロディーにします。
R080923pic1
これがバリトンのメロディー。大きな古時計です。そのまんま。
コードの振り方は、ま、大体こんなところか。主和音(B♭)、下属和音(E♭)、属和音(F)の3種類だけです。
この小学生的コードのどこがゴージャスなハモりなのかというツッコミもありますが・・・その辺は後で考えます。

次いで、伴奏の一番上のデザインをします。
R080923pic2
こうなると作曲に近い物がありますが、最初はフィーリングで。
実は作曲も編曲も99%は同じ作業です。最初のメロディーを自分で作るか既存曲を取り入れるかの違いでしかありません。(耳コピの場合は別です)
それで一応、なんちゃって理論(?)の風を当ててみると・・・
響きにくい低音のメロディーなので、あまりラインを主張しない伴奏が良いかな。なので大きな跳躍は控える方針で、なるべくメロディーラインに似た雰囲気を。
最後に4人でゴージャスにハモるので、一応平行5度と平行8度に気をつけつつ。

一応ツッコミをば。

(1)ハモってない(2度音程)ですが、これはメロディー側(バリトン)が非和声音です。
(2)ハモってない(2度音程)ですが、これはメロディー側(バリトン)が非和声音です。
(3)ハモってない(2度音程)ですが、これは属7和音です。
(4)ハモってない(2度音程)ですが、これは伴奏側(1stアルト)が非和声音です。
ゴージャスにハモる場合、伴奏も漠然と和音を補うのではなく、一種の対旋律なので、非和声音も当然あります。
・ただし、内声を入れる段階で、少なくとも伴奏の上3人がハモってないと拙いので、いずれ対策が必要。

というわけで、ツッコミはあっさり跳ね返します。
非和声音はメロディー(対旋律も)の進行上の経過音。つまり、メロディーは音階、伴奏は3度のハモりだから、そのギャップで生じる「ハモらせる時に無視する音」です。便利ですな。
まぁ、これを2重奏でゴージャスに演奏するのはちょっと無理があるような気はします。後で内声2人を入れる前提です。

さてさて、これに内声を入れます。
ここで考え方は2つあり、どちらもゴージャスにハモると思います。

考え1. バリトンは独立した別パートである。なので、アルトとテナーの3人の3和音でハモらせ、バリトンと他の3人の間の禁則は気にしない。
考え2. バリトンもゴージャスにハモるカルテットの一員としてメロディーとハモりを兼ねる。バリトンと他3人もなるべくハモるように。
それと、細かい和音の種類(コード)は、この段階で最終決定します。なので最初はメロディの音全部にコードを付ける必要ないのです。

今回はゴージャスにハモるのが方針なので、考え2で行きます・・・のつもりでしたが・・・

R080923pic3

画像がmp3にリンクしてます。
譜面の数字は、和音の第○音という意味です。「NH」は非和声音(Non-harmonic note)です。

それで・・・ごっつぅ間違うとるやんけ!
ホンマやねん・・・伴奏の4分音符が14個あるけど、半分以上どこか違ってます。前々回に散々理論を講釈してたくせに、実戦となるとからっきし・・・廃忘・・・

高知支社の言い訳。「武士に二言無し。直す気はないがよ」
(方言はインチキです)

(ア)、(イ)、(エ)、(オ)、(カ)、(キ)、(ク) 長和音の第3音重複
「第3音重複は全部バリトンのメロディ絡みき、問題無いがよ。メロディと伴奏は別パートぜよ」

(ア)、(イ) 平行8度
「平行8度は全部バリトンのメロディ絡みき、問題無いがよ。メロディと伴奏は別パートぜよ」

(ウ) 第3音なし
「最初の8分音符でバリトンのB♭音とハモるG音をアルトがやって、次の8分音符でアルトがバリトンと反行してるがよ。バリトンとアルトの連携、カッコいいと思わんかえ? その時、B♭音とG音の間にあるA音(Fコードの第3音)を誰かが弾いてると、かえってどんくさいがよ。無い方がいいき」
・・・とはいえ、下の楽譜のやり方もあるかも・・・
R080923pic4
画像がmp3にリンクしてます。
禁則がちょっと消えます。でも、私は当初案の方が好きがよ。

(キ)、(ク) 第3音なし
R080923pic5「コードはAm7♭5がよ。サウンド的には元のF7(属和音)と同じフィーリングちゅうき(F7の根音をオミットして第9音(G音)に変えたサウンド)、流れにも問題ないがよ。第3音(C音)は1stアルトが4拍目で吹いてるぜよ」

(ケ) 平行5度
「そうか、大阪の侍は蘭学知らんき・・・フランスのドビュッシー、フォーレ・・・カッコいいと思うがよ」

「こらー!真面目にやらんかい!クビにするで!!」

というわけで、4声に禁則が無い真面目なのも作ってみましたが・・・
R080923pic6
画像がmp3にリンクしてます。

2小節目の同じ音連続が、対位法的に言うと「面白くない」ので、これを本番で使うにはちょっと工夫が必要みたいですが、あくまでも事例なので、この辺でやめときます(上司に命令された仕事は気合入らない?)。スミマセン。そして、仮にそれを直したとしても・・・本物の楽器だときれいに響くのかもしれないけど、修正案は、なんか、歯が浮きそう・・・私は初めから当初のが好き。

とはいえ、うーむ、何となく雲行きが怪しくなって来た。私は理論派じゃなくてフィーリング派なのね・・・

ですが、一応勉強になったことは、メロディーが最低声部にある時は、4人で和音を完結させるよりも、上3人のハモり+バリトンのサウンドもあり得る、というか、その方が編曲しやすい、とは思いました。

(追伸)
読者がどんなサウンドが好きなのかはともかく、高知支社の編曲者は大阪本社の上司の、今までの本稿の流れだと正しいツッコミを全部跳ね返しちゃいました。理論って、良いとかダメとかサウンドと離れた日本語の問答で色々言える世界でありまして・・・音楽の本質は演奏者の感性と、それを客が耳でどう感じるか、それだけのような気がします。
もちろん「理論なんて要らない」とまでは思っていません。家に住む人には建築の理論は要らないけど、家を建てる人には、大工の勘とか、建築士の構造計算とか、学会で話題の最新の技法とか、方法論に違いはあるにしても、理論、或は口で言えない技能(?)は必要な物だと思います。アマチュアであっても、ミュージシャンは「家を建てる人」だと思います。

次:その6:実例(Aメロディー-2)
前:その4:実例(イントロ)

目次(別ウィンドウ)です。

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2008年9月22日 (月)

ゴージャスにハモろう!(その4:実例(イントロ))

※ 楽譜と理論が出てきます。苦手な方、スミマセン。

とりあえずイントロ。

まず、イントロの役割とは・・・カラオケボックスで酔っぱらった客が最初を外すのを防ぐため・・・ではなく、いきなりメロディーに入ると客の心の準備が間に合わないので、最初を聞き逃しても曲がなんだかわかるように、とりあえず音を入れるのであります。「えー、弁当〜、えー、弁当〜」「や〜〜〜〜きいもー・・・・石焼きいも・・・」の「えー」とか「や〜〜〜〜」の役割です。これがあることによって、最初を聞き逃して、声が出てから耳を傾けても、売っている物が弁当だとか石焼きいもだとか判別できるのです。

さて、イントロの作り方は、その曲の最後の4〜8小節ぐらいの和音を使うか、漠然とした和音を使います。
今回は、漠然とした感じで行きたいと思います。

さて、そういう場合に便利なのがあります。
R080922pic1
これは「パッヘルベルのカノン」の通奏低音です。低音の動きの定番中の定番で、とりあえず私が物心ついた時からの長調の歌で、「愛は勝つ」「サイレントナイト」「世界に一つだけの花」なんかが、大体このベースラインで歌えたりします。

次に、リードのラインを決めます。普通は、外声の動きを先に決めます。
R080922pic2
ここは、ゴージャスなハモりを出すべく、ワイドな感じの「反行」を選びます。

ついでに、ベースラインもリードと似た感じに修正します。
R080922pic3

そして、内声(アルト2とテナー)を入れてカルテットの完成です。これを浦安で採用しました。
R080922pic4画像がmp3にリンクしてます。

譜面の数字は、和音の第○音を書いています。

とりあえず、不協和音や平行5度の類いはありません。
1小節目4拍目のテナーの16分音符は、離散和音から、高音3人の密集和音にシフトするための動きです。
和音の場合、何となく2nd、3rd(テナー)は1stアルト(プリマ)より跳躍が大きくならないようにしたいのです。ですが、3rd(テナー)が広く動きたいので、跳躍する代わりにスケールを入れ、流れを緩和しています。
それと、2小節目2拍目の臨時記号(G♭)は、半音の動きでサウンドを和らげる感じです。
R080922pic5
コード的には「オーギュメント(増5和音)」で、前回の解説では省略したけど、ディミニッシュ(減5和音)に似た「弱い不協和音」です。これを内声に入れてみました。半音進行(しかも内声にちょこっと入れる感覚)は、ちょっと大人な感じ。でもこれは(厳密には理論があっても)理論で導いた感じではなく、その方がカッコいいから、というフィーリングの世界。

ただし、1カ所ミスがあり、1小節目の3拍目で長和音の第3音が重複しています。

というわけで修正案。


R080922pic6画像がmp3にリンクしてます。

和声のミスはなくなりましたが、私は、流れが自然な上の方が好きです。

さらに修正案。

R080922pic65画像がmp3にリンクしてます。

和声のミスなし&流れの不自然さも解消しましたが、それでも私は最初のが好きです。

ついでに、
R080922pic7画像がmp3にリンクしてます。

バリサクでパッヘルベルの通奏低音と同じことをやってみた例。これが一番和声的に完璧ですが・・・なんだか動きが鈍い感じがします。
やっぱり私は最初のが好き。

もう1つパッヘルベルの感じを。
R080922pic8画像がmp3にリンクしてます。

これは、2小節目の最初で2ndアルトとテナーがオクターブ離れてしまってます。でも、アルト2人ならびにテナーとバリトンがそれぞれ上と下でハモっているという、別パート的ヴォイシングであります。これも私は好き。

というわけで、編曲は結構色々できます。
しかも、どれが良いのかは、聴衆によって違うかと思います。
その辺が面白さかと。

次:その5:実例(Aメロディー-1)
前:その3:理論

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2008年9月21日 (日)

ゴージャスにハモろう!(その3:理論)

※ 楽譜と理論が出てきます。苦手な方、スミマセン。

当たり前ですが、ゴージャスにハモるということは、和音を使うということですな。
それで、本格的和声学や対位法は使わないまでも、一応、覚えておきたいことを書きます。

【1.和音の基礎】

さて、下の図を見て下さい。
和音は、下の図のような構成になっています。
R080920pic1
一番下の音が「根音(第1音, Root)と呼ばれ、順次、第1音から音階上で1つずつ上に数えて行って「第3音」「第5音」・・・と呼ばれています。

さらに、調がわかっていれば、和音には以下の役割があります。今回の場合は変ロ長調です。
R080920pic2
(1)が主和音(曲や楽節の最初や最後に使われる和音。ジャズ理論では"Tonic"と呼ぶ)
(2)が下属和音(曲や楽節の最初や途中で使われる和音。ジャズ理論では"Sub-dominant"と呼ぶ)
(3)が属和音(曲や楽節の最初や途中、特に最後の前に使われる和音。ジャズ理論では"Dominant"と呼ぶ)
(4)が属7和音(属和音に第7音が加わった和音。属和音と同じ使われ方で、古典で許される唯一の不協和音)

転調さえしていなければ、メロディーの流れの中でどれかが大体は当てはまり、和音がきれいに流れるはずです。
順番的には、属和音→下属和音の進行を除けば、全てあり得ます。

こんな要領で。
R080920pic3
メロディーが和音から外れる場合がありますが、これは「非和声音」と呼ばれている、メロディーの流れの中で和音とは別に出てくる音です。とりあえず放っておいて良いです。もちろん、下に色々書いてある理論を駆使してメロディー1つ1つに和音を付けても良いけれど、最初からそれをやってもカルテットでゴージャスにハモらせる段階になって色々と矛盾が出て来て、徒労に終わる場合があります。最初の段階では流れだけ掴むと良いです。
上の譜面自体はあんまりゴージャスじゃないですが、ここまでの理論ではこれが限界。以降で何とかします。

【2.和音のちょっと細かいこと】
上記は、小中学校の音楽の教科書に書いてあります。ですが、それだけだと編曲に限界があります。

2-1.ハモる、ハモらない
ゴージャスかどうかは別として、ハモるかハモらないかは、2つの音の関係で決まります。

R080920pic4完全8度音程。これはユニゾンと呼ばれ、理論や人間の耳では「同じ音」として扱います。
完全5度音程、完全4度音程も、ゴージャスにハモらせる場合は、ハモると言うよりは、どちらかというとユニゾンの「同じ音」の感覚に近く、「補う」という感覚です。管楽器アンサンブルなら、4度や5度でもゴージャスにハモっているように聞こえますがね・・・

R080920pic5長3度と、その転回系(上の音を1オクターブ下げて基準にした)の短6度。
短3度と、その転回系(上の音を1オクターブ下げて基準にした)の長6度。
厳密には、これらが「ハモる」音程関係です。

以下は「ハモらない」音程関係です。

R080920pic6増4度(減5度):ハモらな度「1」
一番弱い不協和音です。属7和音の第3音と第7音の間に出てくる音程関係です。

R080920pic7長2度、短7度(もしくは単に7度と呼ぶ):ハモらな度「1+α」
全音(2度)系のぶつかりです。サウンドを変化させる「ここぞ」という場面で使う不協和音です。

R080920pic8短2度(半音)、長7度、減9度:ハモらな度「2」
半音系のぶつかりです。これはきれいにハモりません。
実は、もう少し複雑な和声を作る場合だと、これらのハモり度にも(歴然とした)差があるのですが、今回のゴージャスにハモらせる観点では好んで使うことはないと割り切ります。

2-2.他にもある、ハモる和音

最初に、和音は主和音、下属和音、属和音、属7和音の4種類と説明しましたが、その調の音階の中には他にもハモる和音があります。
R080920pic9
これらは、ジャズ理論で「代理コード」と呼ばれている和音ですが、今回の場合、意味は深く考えずにゴージャスにハモらせるためのつなぎの和音、とでも覚えていて下さい。

2-3.転回形

R080920pica
和音は、どの音を一番下にするかによってフィーリングが変わります。根音が下だと「安定した」感じ、第3音が一番下だと「何となく落ち着かない」感じ、第5音が一番下だと「4度上に進みたい衝動に駆られる」感じだと思います。また、第3音や属7和音の第7音を低めの内声奏者に充てるとサウンドが安定します。ま、実を言うと、別な事情に左右される場合が多いので、そういうものか、ぐらいに考えておくと良いでしょう。

R080920picb
転回形の使い方の例です。だいぶ動きがスムーズになったかと。

余談になりますが、ジャズやポップスでのコード指定の場合、ほとんどの場合ベーシストはとにかく根音を弾きます。なので、一番下の音を指定したい場合は楽譜を書くか分数コードを書いた方が無難です。

2-4.密集和音と離散和音

F080920picc
和音は、ドミソが隣り合っている「密集和音」と、離れている「離散和音」があります。
フィーリング的には、密集和音は一体感と厚みがあり、離散和音は少ない人数で音域を広く使え、パートの独立感とワイド感があります。管楽器でゴージャスにハモる場合、密集和音の方が上手くハモるのですが(人数が多い吹奏楽とか、金管10重奏なんかは密集和音が良い)、ま、これも別な事情に左右される場合が多いので、そういうものか、ぐらいに考えておくと良いでしょう。

それより、ゴージャスにハモる場合は、一番下とその1つ上の間を除いて、音と音の間は6度以内が良いです。それより離れると別なパートに聞こえてしまいます。
同時に、3人だと離散和音の種類に限界があり、トリオ演奏でのゴージャスなハモりの雲行きが怪しくなってきます。

R080920picd
離散和音の使い方の例。これで、音域を広く使えます。

2-5.低すぎるとハモらない

R080920piceヘ音記号のFよりも下には、音を1種類にすることをお奨めします。上記で「ハモる」音程関係でも、周波数の関係で、低すぎるとハモりません。本当は厳密なルールがありますが、「Fより下は音1つ」と覚えておけば安全です。

2-6.4人以上の和音

3人でも十分にゴージャスにハモりそうですが、実は4人以上が理想です。

○理由その1は、1人のメロディーを3人(ドミソの3和音)で伴奏できることなんですが、これはアンサンブル全員でのゴージャスなハモりとは直接関係ないので今回は詳しい説明を省略します。

○理由その2「低音の存在」
R080920picfゴージャスなハモりを演出するのは、なんと言っても「低音」であります。
4人いて、誰かが低音に回れば、低音の支え+上3人でゴージャスにハモります。もちろん、上が4人いれば中高音だけでゴージャスなハモりが1個作れるわけでして、これが五重奏です。

○理由その3「補うことによる豊かなサウンド」
R080920picg
3人(ドミソの3和音)だと、実は和音が完結してなくて、もう1人が同じ音を補うことによってゴージャスなハモりが実現します。これがカルテットの真骨頂で、私は1分ちょっとのゴージャスなハモりのために旅費3万をはたいて浦安まで行ったのであります。カルテット、一度やったらやめられぬ!

えーと、
長和音の場合、根音か第5音を重ねます。第3音の重複は和音のバランスが崩れて、かえってゴージャスでなくなります。短和音の場合は、どれを重ねても構いません。

また、長和音、短和音、属7和音ともに、第5音を省略可能です。なぜならば、最初の方に書いたように「5度音程はハモっているのではなく、補っている」からであります。ただし、属7和音で第5音を抜いて第7音を重複させるのはやめた方が良いです。

チョイとまとめてみます。5人以上の場合も参考になるでしょう。
第3音:必ず必要。ただし、特に長和音の場合は人数がそんなに要らない。
第5音:省略可能。ただし、大人数をここに充てると、サウンドがゴージャスになる効果はある。
属7和音の第7音:必ず必要(というか、省略すると普通の属和音になる)。ただし、人数はそんなに要らない。

【3.メロディーとハモりのデザイン】
これは、対位法に相当する部分です。

3-1.平行、斜行、反行

R080920pich上声と下声が同じ方向に行くのを「平行」と呼びます。
フィーリング的には「一体感」「スピード感」と言ったところでしょうか。

R080920pici上声と下声のどちらかが動いて、もう片方が同じ音を続けるのを「斜行」と呼びます。
フィーリング的には、平行と反行の中間的な特徴を持ちます。

R080920picj上声と下声が上下逆の方向に行くのを「反行」と呼びます。
フィーリング的には「パートの独立感」「ワイド感」と言ったところでしょうか。

3-2.やめた方が良いこと

R080920pick同一パート間の平行5度と平行8度は、古典では禁則です。
ここで「4人のうち2人がオクターブでメロディーも禁止なの?」というツッコミが入りそうですが、この場合は、オクターブ上のメロディとオクターブ下のメロディーは「同一パート」ではありません。2人ともメロディー担当者でして、なんかややこしいですが、禁則はあくまでも、ゴージャスなハモりを直接担当するパート内の人間だけに適用され、メロディーの人は別です。


他にも禁則がありますが、今回は省略します。

【番外編:何であれ、音が動けば曲は進む】
これは私の持論、というか、皆さんそう思っているような気もしますが、理論云々よりも、音が(耳で聴いて)リーズナブルに変化すれば音楽なんだと思います。そして、そのリーズナブルさの許容範囲の違いがジャンルの違いなんだと思います。
例えば、こんな編曲もあります。
R080920picl
これをゴージャスなハモりだと思うのかは読者に任せますし、理論やコード云々よりも、内声(アルトとテナー)の半音の動きがリーズナブルで、音楽に変化を出している、と私は思います。
あ、バリトンのオクターブ上にもう1人いると良いですね。するとクインテットであります。
編曲の可能性はほぼ無限にあるかと。まずは自由に考え、許しがたいサウンドは直しながら・・・それでもどう直して良いかわからない場合は理論の登場、といった具合ですかね。

最後に、書き忘れたフィーリング。
必ずしもそうなるわけじゃないですが、
音が高くなる:盛り上がる
音が低くなる:盛り下がる
音程変化が激しい:強い表現
音程変化が穏やか:弱い表現
以上も、何となく考えておきます。

追伸:ここまで読んでくれた方へ。
お疲れさまでした。
実は、編曲する時はこのぐらいのことを常に頭に入れておいて、それぞれのバランスを取りながら色々と調整しつつ、譜面を書き上げて行きます。なので、あえて一気に書きました。
そしてこれは、やっぱり「ナンチャッテ理論」であります。フィーリングを軸に、ちょこっと理論で補う要領で使うと良いでしょう。もちろん、本格理論を暗記すれば短時間で譜面を量産できますが、ま、プロじゃないですから、秋の夜長にパソコンとキーボードを片手(いや、両手か)に丁寧に作るのも一興では?

もう1点。本文中でゴージャスなハモりをしつこく連呼しているのには理由があって、
上記の理論はあくまでも、同系統の音色と音量、つまり同一パートがゴージャスにハモるための理論です。異なるパート、例えばサックスのメロディとトロンボーンの和音とエレキのベースラインなんかの場合は、この理論が適用されるのはトロンボーンの人たちの間だけです。メロディーとベースラインは「別物」になります。

ついでに蛇足ながら、同一パートなのか異なるパートなのかは客がどう感じるか次第でして、同系統の楽器で音色が似ている場合、ソリストと伴奏がゴージャスにハモっちゃう、別な言い方をすればメロディーが伴奏に埋まっちゃうことがあります。吹奏楽や管楽器のアンサンブルでは要注意です。もちろん、合奏の一体感の観点では、良いことでもあると思います。編曲者はメロディーの人数や音域、そして伴奏する楽器の種類選びに注意、演奏者は、ソロ用、ユニゾンのメロディ用、ゴージャスなハモり用・・・と複数の音色とダイナミックレンジを持つのも1つの考え方かもしれません。

次:その4:実例(イントロ)
前:その2:人数と音域

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2008年9月20日 (土)

ゴージャスにハモろう!(その2:人数と音域)

※ 楽譜と理論が出てきます。苦手な方、スミマセン。

【人数】
ゴージャスなハモりのためには、音色が似た4声(声楽や管楽器なら4人、キーボードなら指4本)以上必要です。これはクラシックで和音が完結する人数です。


【音域】
R080920pic1欲を言えば、このぐらいは欲しいところです。実は私の肉声(声楽・・・いや、音程に若干の問題があるため酒の味に若干の問題が生じるカラオケ)の音域です。たぶん、人間は人間の声をゴージャスだと感じるのでしょうね。ソプラノ・テナー(若い男声・女声)、アルト・バリトン(成熟した男声・女声)の組み合わせが高級感溢れると感じるのかもしれません。すると、ゴージャスなハモりって、「家族」なのかもしれません。今回は触れませんが、そのうち、このへんの文化人類学を研究してみたい。


R080920pic2最低このぐらいは必要かと。これなら、ほとんどの管楽器族でカバーできるのでは?
フルート族(¥バスフルート)、ダブルリード族(¥オーボエ、¥イングリッシュホルン、¥ファゴット)、クラリネット族(¥バスクラ)、サキソホン族(¥バリサク)、トランペット+(ホルン)+トロンボーン+(¥チューバ)、フリューゲルホルン、ホルン、ユーホニウム+(¥チューバ)

というわけで、ゴージャスなハモりのためには4人と¥予算が必要になります。
色々と事情があって上記が揃わない場合、ゴージャスなハモりは人数と高額楽器に負けるかもしれませんが、別な切り口で(いい)アンサンブルは可能だと思います。そのような曲を作ったこともありますが、今回の趣旨ではないので省略します。

次:その3:理論
前:その1:はじめに

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2008年9月19日 (金)

ゴージャスにハモろう!(その1:はじめに)

※ 楽譜と理論が出てきます。苦手な方、スミマセン。

情熱的なアドリブや不協和音のぶつかり合いのカタルシスも捨てがたいけど、一応、合奏をやっている人間としては・・・

高級感溢れるゴージャスなハモり!

いやー、憧れますな。

というわけで、ゴージャスなハモりを自作する研究をしてみます。

その前に一応、前提条件と注釈。
1) 少人数(4人)のアンサンブルを扱います。もちろん、大人数の編曲にも応用できるでしょう。
2) クラシック(バロック~ロマン派)の雰囲気になります。近代音楽以降やジャズみたいに不協和音も含む分厚い和音でゴージャスにハモる方法とは別物です。
ついでに、本物のクラシックを作るには、和声学とか対位法とかの勉強が必要ですが、コイツらはエラく複雑で面倒臭いので、あくまでも、なんちゃってゴージャス、ということで。

とりあえず最終目標は以下の楽譜とmp3です(私の編曲)。これを解説しようかと思います。
スコア mp3

アルト1 アルト2 テナー バリトン

曲は「大きな古時計」、スコアはC譜です。
音色は弦ですが、楽譜はサキソホン四重奏です。私のパソコンの内部音源のサキソホンにろくな音色がないもんで・・・

9/20追記
実はこれ、ウィンドファクトリーの浦安ファミリーコンサートのSaxパート紹介でして、その時の演奏のmp3を頂いたので、載せてみます。


本物のSax.mp3
編曲にも演奏にも若干ミス有り・・・ついでにテナー張り切り過ぎ&ダイナミックレンジを揃えたかった。この辺は、ゴージャスなハモりの何たるかを知る人に前で聴いてもらって調整しないと厳しいみたいです。

演奏者は、アルト1:A Dachi(元ヤマハ講師)、アルト2:Tae(元千葉大吹奏楽団パートリーダー)、テナー:紺野(シャーマンブラスコンサートマスター)、バリトン:Masato(元京大BigBand)という錚々たる顔ぶれで、さすがに皆さん、安定して良く鳴ります。上の(やむを得ない事情も含む)欠点を補って余りある素晴らしいサウンドかと。
That's right.
譜面がゴージャスにハモるわけじゃありません。紙はハモりませんから(紙をリードにした管楽器ならハモるかも)。
ゴージャスにハモるのは、奏者1人1人がゴージャスな音で各自のパートを演奏するからであって、実は編曲やフィンガリングにちょっとぐらいミスがあっても、管楽器の場合は音が良ければ演奏も良いのです。逆は無理です!
↑以上、業務連絡。

ま、これでは身も蓋もないので、アレンジャーとしてできることを、頑張りましょう。

では、行きます。

次:その2:人数と音域へ。

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2008年3月11日 (火)

リベルタンゴ(メロディ抜き)

「リベルタンゴ」の検索でアクセスする方に、ピアノ伴奏譜とコンピュータ演奏のmp3とMIDIを載せます(念のため全てメロディ抜きです)。私が耳コピしたものですが、たぶん、こんなところだろうと思います。
「16小節×2+16小節」の48小節で1コーラスです。ピアノ譜の「A」から「B」(Cの直前)までが1コーラスです。ウィンドファクトリー用の編曲は3コーラスで、前後に16小節のイントロを挟んでいます。

ピアノ楽譜のpdfです。
コンピュータ演奏のmp3です。
MIDIです。

これ以上の情報が欲しい方は、個別にご相談ということで、お願いします。

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2008年3月 2日 (日)

火星の終わり

何となく怪しいタイトル・・・まぁ、「地球の終わり」よりはマシといういことで・・・でも、編曲の話です。

曲はホルストの組曲「惑星」より「火星」の終わりの音に関して質問があったので、回答します。

曲を知らない方でブロードバンドの方は、こちらを見てから戻ってきて下さい。

MIDIはこちらで入手できるので、シーケンサかノーテーションソフトがあれば、中を見ることができます。

さて、最後の音はC音とG音の、前回で言うところの「15系」で、普通です。
たぶん、質問は最後の前にジャンジャカ鳴らされる和音のことだと思います。
オケスコを持っていないので、演奏録画とMIDIから判断します。

楽譜はコンピュータ演奏のmp3にリンクしています。
H080302mars1


H080302marsp金管アンサンブルに割り振ると、上の楽譜ような感じになります。ピアノで試す場合は下の楽譜を参考にして下さい。
これをどうやって作るのかというと、まず、ベースのはC音と5度上のG音の「15系」です。チューバが1人のときはC音を弾いて下さい。
トランペットの1番上の音はC音の5度上のG音(15系)です。
次に、トランペットの1番から「4度音程」の方針で下げて行くのですが、この時、G音に対して不協和な「減5度(D♭音)」と「長7度(A♭音)」を選択します。ここから下は、ベースにぶつかるまでオクターブ同じことを繰り返します。
細かい割り振りについて。
トランペットの4番は、トランペット1番の音をオクターブ下で補います(トランペットが3人しかいなければ、「パート内でハモる(この場合は不協和音ですが)という観点から、吹くのはホルンと重ならないようにG音ではなく、A♭音が良いです)。
ホルンの1番は、和音の特性を明確にするためにA♭を当てます(同じく、トランペットが3人でも、G音に当て直す必要はありません)。
以下、オクターブ下をホルンとトロンボーンで順次補って行きますが、この時、人数に余裕があれば、音程的に上位楽器の下位パートと、下位楽器の上位パートを重ねてバランスを取ります。

H080302mars2
もう少し和音をぶつけるなら、A♭音の減5度下のD音を当てます。
ただ、曲全部を解読してみないとわかりませんが、この曲とは合わないかもしれません。
ついでに、前からの流れで何かのスケールに乗ってそうですが、解読はそのうち・・・って、いつだろう。

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2008年2月25日 (月)

吹奏楽の編曲(その9) 終わりの音2

今回は「最後の音」の楽器の割り振りの話です。

楽団の人数によるので、一概には言えない部分があるのですが、大体以下のような感じかと思います。

とりあえず、割り振って行くときの優先順位楽器です。楽器に貴賤はありませんが、最後の音など派手な部分で活躍する楽器となると、人数が多い楽器から先に考えて行くことになります。

1位:低音群(チューバ、ベース、バリサク、バスボン、バスクラ、ファゴット)
2位:トランペット、トロンボーン
3位:ホルン
4位:B♭クラリネット(バスクラは低音群の役割)
5位:フルート
6位:サックス(バリサクは低音群の役割)
その他

以下、単に「Cl」はB♭クラリネットのことです。

(1)ユニゾンの場合
H0802242unison
こんな感じで、大体の人数を揃えながら、音域の具合を揃えながら上記の順番でパートを割って行きます。音域の具合とは、トランペットが高音域なら、クラリネットも高めにするとかのことです。

H0802242unison2
こんな割り方もあります。同じ楽器をオクターブにして、全体の音を混ぜようと言う考え方です。

H0802242unison3
フルートをオクターブ上にして、聞こえるようにした状態。

(2)普通の和音の場合 その1
H0802242maj
考え方1:とりあえず、メロディ(?)をC音とすると、基本的に、なるべく人数が沢山いる主なセクション(Tp,Tb,Cl,Fl)がそれぞれC音を1stが吹くようにします。できれば、サックスやホルンもその方が良いかもしれません(が、ホルンは音域が合わなくて、サックスは手薄な音を埋めるのが仕事なので、そうならない場合も多いです)。
考え方2:できれば、各セクションが、セクションだけで和音が完結するように組みます。

【金管】とりあえず、音量がmpなので、トランペットは低めに。その下にトロンボーン。
ホルンは、高くなりすぎない範囲で、1st,3rd,2nd,4thの順で、間の音を埋めます。ホルンの4をE音にしたい気もしますが、すると、上からE,C,G,Eになり、長和音の場合Eを重ねない方(重ねるなら他)がの方が良いので、ホルンがパート練習中に気持ちが悪いかもしれないし、かといって4thをこれ以上低くもしにくいため、2ndと4thをG音にします。
【木管】B♭クラリネットでC音はちょっとキンキンするので、E♭クラリネットに任せます。以下、順次上から。Flは2パートをC音から順次。
サックスは、クラの下に付けます。(この場合は、ひょっとしたらC音から始めても良いかもしれません)。
【その他】オーボエ、ユーホニウムはそれぞれ吹きやすい音域のC音を担当してもらいます。

(3)普通の和音の場合 その2
H0802242maj2
今度はフォルティッシモなので、トランペットでガンガン行きます。
【金管】トランペットもトロンボーンも高めに。ホルンも同じく。
【木管】今回はクラリネットもE♭クラリネットの力を借りる必要なし。キンキンしても良いのである!サックスは、クラリネットがパート数の関係で届かない中音域を、自分のセクションで和音が完結するようにして、離散和音で広く埋めます。
【その他】吹きやすい音域(高めがベスト)のCを埋めます。

(4)Jazzyな和音の場合 その1
コード書き忘れました。Cメジャーです。
H0802242maj3
和音のmp3(ピアノの音)
上の和音ですが、実は簡単に自作できます。
まず、トップの音域を決めます。これはトランペット奏者と相談して下さい(笑)。
トップの音(今回はD音)が決まれば、あとは順次下に音を加えて行くだけ。その時に、「○度音程を主体にして下げて行こう」という方針を決め、それに従って音を加えます。今回は4度(増4度含む)音程です。
そうやって音を下に加えて行った時、アボイドノート(和声に使えない音)に当たりそうになったら、適宜ずらしてテンションかコードトーンにします。そして次は、ずらされた音からまた4度、という具合に下げて行けば、○度音程が何度であろうと、重ねている間に勝手にテンションが入る仕組みです。
ヘ音記号のG音の下にD音がないのは、低過ぎてベース音と当たるから。

パートの割り方は基本的に今までと一緒ですが、違うところは以下のとおり。
・セクション内和音の完結度はある程度仕方がない(全員テンションのセクションなんかは、パート練習で「何のことだかさっぱり?」状態もあり得るけど、しょうがないです。
・1stトランペットと並ぶ吹奏楽の雄である1stクラリネットですが、ここは1stトランペットに敬意を表して高音を譲ります(不安なときは充てた方が良いです)。フルートは一緒にしてOKです(トランペットの音色を殺さないので)。
・【その他】の楽器は、こうなっちゃうと「メロディー」というわけにも行かないので、適当な場所に埋めます。オーボエはフルートの下に入れます(一番上も検討に値しますが、奏者と相談して下さい(笑))。E♭クラリネットは一番上に(トランペットにこだわるならフルートの下でも可)。ユーホニウムはトロンボーンの下の方に充てます(実は、この手の和音の曲のときはトロンボーンが高い音出る人(鳴る人)を1stで組むため、中音が弱くなっちゃうので、役に立ちます)。

(5)Jazzyな和音の場合 その2
H0802242maj4
和音のmp3(ピアノの音)
同じくコードはCメジャーです。
前回と同じく、一番高い音を決めて、そこから順次同じ音程感覚(今回も4度)で次々と音を足していきますが、今回は#4とM7が入らないように作っています。
音の感じがちょっと違います。結果論なんですが、A音(TensionのM6)に挟まれたG音(コードトーン)が、(理論的には要らない)第5音のくせにガツンと効いていて、なかなか格好良いVoicingかも。
楽器の振り方の考え方は上と全く一緒です。

どっちが良いのか・・・は、好みの問題だと思いますし、バンドのバランスによって変わってしまう話なので、何とも言えないところです。ただ、一般的にはフルスペックの方が無難なのかもしれません。指揮者によっては編曲ミスと判断して、演奏時に間にテンションを加えるかもしれませんね。
ただ、何となくワンパターンで、工夫したい気もしますがね・・・実はこの辺は色々ありそう(私もよくわからない面あり)なのですが、まぁ、最後に加えられる「客の拍手を強要するための音(笑)」の話ですから何かあれば良いのであって・・・和音選びの話はこのぐらいにしておきます。別途研究されたし。

まとめとして、皆同じことをするときは、全体のバランスと、セクション内の和音の完結度合いと両方考えると良いです。

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2008年2月24日 (日)

吹奏楽の編曲(その8) 終わりの音1

さてさて、一旦リベルタンゴは忘れます。もっと単純なものをば・・・

「ジャーン」と終わる時の話です。
そう。ジャズのビッグバンドなどで、曲は既に終わっているのに、もう1回しつこく出てきて、今までの下手さを水に流して、拍手を強要するような・・・あの「最後の長い音」のことです。もちろん、短い音で終わったり、主題のリフを全員で吹いて終わるとか、そんなのもありますが、突如出てくる長い音には、何はさておき絶大な長所があり、最後の音が消える前に、聴衆に「終わった」ことがわかるため拍手をするための心の準備がしやすく、曲が終わってから拍手が来るまでの、聴衆にとっても演奏者にとっても大迷惑な、あの妙な「間」を取り除くことができます。
中には、あの「間」が大好き(上手い演奏は、客が感動しているので終わってから拍手をするまでに間がある)という奏者もいますが・・・そういう奏者の欲望に配慮する時は、意外な終わり方をさせると、その状態を再現できます(笑)。
でも、それは自惚れが強すぎます。悪いこと言わないから、最後は長い音で終わりましょう(笑)。

終わり方の例を示します。とりあえず、管楽器のサンプリング音源だと音域で歪むので、キーボード系の音で(ピアノでは弾けないのがあります(エレクトーンなら大丈夫)。どうしても弾きたければペダルを使うなり、足の指も使うなり、誰かに頼んで2人で弾くなり、何とかして下さい)。

楽譜はC譜です。楽譜の画像がコンピュータ演奏のmp3にリンクされています。

1.ユニゾン
H0802241unison

シンプルな終わり方です。力強く終わりたい時にどうぞ。特に、ずっとハーモナイズされていた流れが、終わりだけいきなりユニゾンになると、突然音がまとまり、結構格好いいです。
別に、終わり方に間違いも何もないので、面倒だと思った時(例えば、短い音の終わり方で編曲したけど、曲順が変わったりしてボスから「派手に終われ」と言われてやむを得ず最後の音を付ける場合とか)も、これで良いんじゃないでしょうか・・・)

15系 (主音と5度上)
H0802242_15

これもシンプルな終わり方。ユニゾンとあまり意味は変わりませんが、コンピュータの音なのでわかりにくいですが、少し響きが良くなった感じがします。また、「ハーモナイズ→突然音がまとまり」をやる時に、近くの主音か5度に行けばよいので、特に管楽器の流れに無理が生じにくいのが特徴です。
例えば、短調で進んで来たけど、短和音で終わると重すぎる、最後をユニゾンも芸がない、かといって最後だけいきなり長和音にするのも気障だ、かといって、コーダを展開させて自然に長和音に持ってくるのは面倒くさい。そんな時に15系が使えると思います。

3.長調系
(1)長和音 (2)69系 (3)M7系 (4)全てのテンション(#4を含む)
H0802243maj H0802244maj69 H0802245maj7 H0802246majfull
全て長和音系で、直前まで長調だった場合の普通の終わり方とともに、短調でも最後の音だけ長調にすることがあります。
(1)は普通の長和音で、クラシックでは最もよく使われる終わり方です。

ジャズでは、テンションが入った音を最後に付けることが多いです。
(2)、(3)は、いくつかテンションを入れた和音で、大同小異ですが、(2)69系の方が響きがシンプル、(3)M7系の方が豊かな感じです。
(4)は、全てのテンションが入った、フルスペックの長和音です。ちょっと気障な感じがしないでもないですが、(2)や(3)よりも複雑な響きになっていて、#4のテンションがかなり強力です。

4.短調系
(1)短和音 (2)69系 (3)M7系
H0802247min H0802248min6 H0802249min7

こちらは短和音系です。短調の時は普通はこちら。
(1)は普通の長和音で、クラシックでは最もよく使われる終わり方です。

ジャズでは、テンションが入った音を最後に付けることが多いです。
(2)、(3)は、いくつかテンションを入れた和音で、(2)69系の方が響きがシンプル、(3)M7系は、ちょっとサウンドがきつくなります。もちろん、フルスペックの短和音もありますが、M7のサウンドがかなりきついので、M7を入れた場合、他のテンションは何を入れても似た方向のサウンドになります。

以上、終わりに付ける和音の特徴でした。
次回は(たぶん) 吹奏楽の楽器の割り振りの話に移ります。

次回詳しく説明しますが、テンションは特殊な技術を駆使して組み込むわけでなく、実は、大人数の場合は普通に和音を作っている間に自然に入っちゃいます。なので、テンションを選びたくないときはむしろ、きつい方のテンション(長和音なら#4、短和音ならM7)から、或いはテンション全部について「お払い箱にする」という方針を立てながらサウンドを選ぶと良いかと思います。

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2008年2月20日 (水)

吹奏楽の編曲(その7) 実例1「リベルタンゴ-3」

前回、「冒頭から」と書いたけど、やっぱりもう1回全体を行きます。
(なかなか楽譜が出てこないのが難点ですが)
全体の流れなんですが、以下のような感じです。
ある程度の音楽と吹奏楽の知識がないとパニックと思われるため、下の図の楽器の略称を見て意味が分かる人用、ということで、凡例は付けません。
H080220pic1
Fig. 1 Time section of orchestration
英語はインチキです。

前回と一部重複しますが、全体のデザインなんですが、以下のように考えて流れを作っています。
1)曲全体を、下図の「重要なリフ」が支配している。
H080220pic2
2)主役はソプラノサックスとピアノ。ただし、他の楽器のイントロがあってから仰々しく登場するのではなく、曲全体で、できるだけ両方を、(休みたいので)少なくともどちらかは、必ず存在感を見せておく。
3)一環した流れを作っておく
・イントロとイントロに挟まれた3コーラスの尺とコードは同じもの。
・B2メロディーの部分は3コーラスとも全く同じ
・スネアドラムが、一部を除いてずっと同じリズムを叩き続ける。
4)ソプラノサックスとピアノの流れ
ソプラノ:「重要なリフ」から、メロディーソロ→アドリブソロを経て、最後に「重要なリフ」に再度戻る。
ピアノ:ソプラノサックスとは違う動きをしながら、活躍する場面を見せながら次第に「重要なリフ」をちらつかせ、最後にソプラノサックスと一緒の「重要なリフ」に落ち着く。

これらに、他の楽器が絡みます。
上の図を見るとわかるように、楽器が多いところと少ないところを使い分けていて、楽器が多くても少なくても、ソプラノサックスかピアノのどちらかがメロディか「重要なリフ」を担当するようにしています。

冒頭(Intro):ソプラノサックスとピアノのみ(サウンドの軸になる楽器を先に見せておく)
練習記号A:最初のメロディーはユーホニウム。理由は、ソプラノサックスと音域、音色とも似てなくて、なおかつ地味目な楽器を選択。伴奏にはベースと打楽器(特にスネアドラム)を追加。ソプラノサックスとピアノは同じ流れを続行。
練習記号Aの17小節目:続いてアルトサックスを追加。ユーホニウムのオクターブ上を吹けて、音色の相性が良い楽器だから。伴奏にはバランスをとって打楽器(クラベス、カスタネット)とフルートを追加。
練習記号B:ここで一気に楽器を追加。ただし、ソプラノサックスをメロディーに残す。ただし、ソロでは支えきれないというか、突然音量が大きくなると不自然なので、相性の良いオーボエとトランペットを、ソプラノサックスが消されない範囲で追加。伴奏にも全ての管楽器を追加して、全体のバランスをとる。ピアノは、周りが大きくなるとサウンドに影響を与えないので、休んでも良いことにした(楽譜にコードは書いてあるけど・・・ピアノも曲全部弾くと疲れるみたいです)。
練習記号Bの9小節目:大部分の楽器が消え、ソプラノサックスが再び目立つようになる。Bでソプラノサックスをメロディーに残した効果で、ソプラノが割り込んだというよりも、周りが消えた印象。
練習記号C:全体合奏に移行。木管のメロディーと金管の伴奏。ここで初めて「重要なリフ」にピアノを投入しつつ、他にバリトン音域の楽器を入れておく(事前にBのところに目立つ場面を設けていて、唐突にならないようにしています)。
練習記号Cの17小節目:ソプラノサックスのソロに転換。ここまでソプラノの流れを作れれば後は何でもありだが、直前までの流れを維持するために、メロディーを吹いていた木管楽器を伴奏に使う。「重要なリフ」はピアノを残し、これも「他の楽器が消えたことによって混ざっていた楽器を目立たせる」作戦である。
練習記号D:さらに編成を薄くして、ピアノのアドリブソロ。ずっと「聞こえる伴奏」をしてきたピアノがここで主役になる。
練習記号E:ソプラノサックスのアドリブソロで、曲のクライマックス。リズムも変えてしまう。
練習記号B2:Bと全く同じ。小品なので、このあたりでこれ以上の展開をやめて、収束に向かわせる。ソプラノサックス(私)、休みたいけど、ピアノも聞こえないし、ここでメロディーを入れないで「疲れた」とやってしまうと、折角「フィーチャーもの以上」を目指して全体合奏のコア部分を担当してきた意味がない。頑張るのみ。
最後のIntro:ずっと込み入ったことをやってきたソプラノサックスとピアノが、やっとここで「重要なリフ」のユニゾンに。チャンチャン♪。ただし、少し伴奏を入れて(ベース、打楽器、フルート)、曲が進んだ後であることを示す。

うーん、音や楽譜がないと非常にわかりづらい・・・
全体を組む時に、音量のバランスと同時に、唐突にならないような流れの展開のさせ方も考えておくと良いと思います。とはいえ、人それぞれかもしれませんし・・・たぶん、楽器の出す出さないの流れを見て、(最初に決めたことや人事などの事情を除いた)必然性を幹事られれば、成功と見てよいのかもしれません。

しかしまぁ、総論ほど役に立たないものはない・・・みたいですね。
というわけで、次は、実際のオーケストレーションを見てみます(次回こそ役に立つかと)。

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2008年2月19日 (火)

吹奏楽の編曲(その6) 実例1「リベルタンゴ-2」

これは人によって異なると思いますが、まず、全体を考えます(モーツァルトは曲の演奏より短い時間で作曲ができたようです)。私の場合は、最初に全体をぼやっと考え、その時点でどの楽器がどう使われるかを粗方決めてしまいます。その後に実際の作業をしながら微調整していきます(モーツァルトにはなれないみたいです)。

(誰かにしゃべる必要がないので、日本語で考える訳じゃないですが)リベルタンゴの場合は、楽譜を書き始める前に以下のように考えています。

1)既存演奏の耳コピの類ではなく、曲がリベルタンゴでさえあれば、大幅な翻案が許されているだろう。
2)演奏会のメインの曲ではなく、箸休めの小品であろう。
3)真面目にやろう(演奏する団員に気を遣うとか、演出としての面白さを求めるよりも、1つの作品として一貫性があるものを書こう)。
4)この曲に最も似合うと思う楽器、編曲者が使ってみたい楽器はソプラノサックス(自分ですが)。
5)ピアノを積極的に使おう。

番外:全体的にラテンジャズの雰囲気が色濃く漂う「大人の編曲」になる。ただし、そのような曲想にあまり慣れていない団員達にわかって貰えないかもしれない。翻案が強い編曲は耳コピに比べて、理解されるまでに時間がかかる。他は難しい曲が目白押しであろう。なので、楽譜はできるだけ簡単にしよう。

以上を踏まえて、全体をぼんやりとデザインします。

1)演奏会全体の時間の中で、この曲は4,5分であろう。なので、全体は3コーラス。大人っぽいの編曲をするため、コーラスの途中カットはしないで、一貫した流れを維持しよう。1コーラスは、A(16小節)→A→B(16小節)形式で、48小節です。
2)イントロを付け、最後に同じイントロに戻して簡潔に終わらせよう。そして、このイントロを全体の通奏低音(←音楽用語でなく、比喩的な通奏低音という意味)にしよう。
3)ソプラノサックスとピアノは、全体の流れの鍵になる楽器として、曲全体に染み込ませておこう。

以上を踏まえて、全体を作っていきます。
次回以降、曲の冒頭から解説して行きます。

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吹奏楽の編曲(その5) 実例1「リベルタンゴ-1」

オーケストレーションの組み合わせの方法は、凄く沢山ありますし、編成がちょっと変わっただけで事情が違ってくるので、常に考えながら、ということになります。なので、私が編曲した実例を挙げながら、その都度理由について考えて行きます。

とりあえず、今年のウィンドファクトリー定期演奏会で私が編曲を担当した2曲についてやってみます。まずは、比較的上手くいったと思われる「リベルタンゴ」から行きます。

まずは編成。
自分のバンドを自分で編曲の場合は、巨匠になったつもりで色々な楽器を使ってみても、吹く人がいなければ意味ないわけで、あまり自由がきかないです。所有者がいる特殊楽器の選択と、打楽器の選択ぐらいです。

ピッコロ:なし(曲想上要らない:そのような曲では奏者がフルートを吹く)
普通のフルート:2パート(奏者が4人以上いることが既知)
アルトフルート:なし(普通のフルートに多くの人を充てたいため)
オーボエ:1パート(2パートのこともあるが、奏者が1人しかいない)
ファゴット:なし(奏者がいない)
E♭クラリネット:1パート
B♭クラリネット:3パート
バスクラリネット:1パート
ソプラノサックス:1パート(自分:他の曲ではアルトを使用)
アルトサックス:1パート(普通は2パートだが、奏者が1人しかいない)
テナーサックス:なし(普通は1~2パートだが、奏者がいない)
バリトンサックス:1パート
トランペット:4パート
ホルン:2パート(普通は4パートだが、奏者が2人しかいない)
トロンボーン:3パート
バストロンボーン:1パート(編曲開始時点で、出欠不明だったが、一応書いた)
ユーホニウム:1パート(2パートもあり得るが、編曲開始時点で1人しかいなかった)
チューバ:1パート
ピアノ:1人(テナーサックス奏者がこの曲だけピアノを担当)
エレキベース:1パート
打楽器:ビブラフォン、クラベス、カスタネット、ボンゴ、ドラムスを選択

※編曲終わってから状況はかなり変わってます(特に中低音が充実しました)。

【補足説明】
予めいない、或いは一般的な編成に足りないとわかっている楽器は、編曲開始時点で外してしまっています。
B♭クラリネットは確か7人いたと思いますが、1パートを2〜3人で吹き、一般的に3パートです。サックスがアルト、テナー2パートずつの場合に4パートを試みたことがありますが、ウィンドファクトリーだと人数が不足するのと、パート数を増やしてサックスと同じことをしても、音域が広くなりすぎて上手く機能しないみたいです。サックスが4パート(バリトン入れて5パート)の場合でも、下の方の音域はサックスやユーホニウムなどに任せて、3パートにするのが相場です。
トランペットやトロンボーンのパート数は3パートと4パートがありますが、トランペットは沢山いるだろうとの読みで4パートに、トロンボーンは、バストロンボーンを入れて4パートになりますが、バストロンボーンを始め、不足が予想されたため、実質的には3パートで、バストロンボーンは、他の楽器が必ずかぶるように作っています。

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2008年2月18日 (月)

吹奏楽の編曲(その4) 全体サウンドの特徴

最近、吹奏楽について真面目に考え始めています。

それで、極めて私見ですが(色々な意見があると思います)、吹奏楽のサウンド的な最も大きな特徴を2つ挙げます。

1.全体がフォルテの場合、いかなるパートでも、同じ楽器を全員束ねても同一パートだけでメロディを支え切れない。
2.楽器を混ぜれば混ぜるほど音色が柔らかくなる。

ブラバンと聞くと「トランペット!」「サックス!」「クラリネット!」・・・「ワーワーワー!」と言った印象を受けるかもしれませんが(私も最近までそう思っていた)、実はどれも、それだけでは決め手にならず、似たような発音原理の色々な楽器の音色が混合された、むしろ柔らかい音色が持ち味の編成です。ハードさを表現するなら管弦楽、ジャズのビッグバンド、ロックバンド、単独楽器か似た楽器のアンサンブル、独奏なんかの方が優れていると思います。
別な言い方をすれば、音量が小さい部分ほど独奏中心で緊張感があり、楽器が加わって曲が盛り上がれば盛り上がるほど、個々の楽器や奏者の音色が固有に持つ緊張感が厚い霧に包まれてしまう面も感じます。

その一方で、ビッグバンドや管弦楽と比べた時、和音の厚みや音の柔らかさの点で「こっちの方がよい」と思う人も結構いると思います。今年のウィンドファクトリーの定期演奏会の時のアンケートに「ビッグバンドを聴くよりずっと良い」と書いていた人がいましたが、私も同じ考えを持ち始めています。

吹奏楽の特性をどう生かしていくか、同時に、(自分も含めて)奏者がアマチュアとして「あれやりたい、これやりたい」にどう対応していくのかが、編曲上の課題になります。

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2008年2月17日 (日)

吹奏楽の編曲(その3) 木管の音域

木管楽器の音域です(やっぱり書きます)。
もちろん、教本や楽器のカタログ、或いは音域を解説したページの検索で調べることもできますが、木管楽器の場合は、概ねカタログスペックが誰でも出せると考えて大丈夫です。
楽譜は全てC譜です。



フルート
H080217fl
高音域では指が難しいですが、それは言っちゃいけないことになってます。
メロディーなどは、高めの音で書くのが普通です。全体がフォルテの場合は、低い音域のパートのみの動きは、ちょっと厳しいです。低音域はソロ用と考えて下さい。
ピッコロは全体が1オクターブ上で、最低音のCやC#が出ません。また、「聞こえない」〜「華やか」のギャップが激しいのが特徴です。
アルトフルートはG管で、この4度下の音域です。普通のフルートの「聞こえない」〜「厳しい」をカバーします。が、吹奏楽ではこの音域に色々なのが居座っているので、あまり出番はないかもしれません。楽器を持っている人が居る場合は、要相談でしょうか。

オーボエは、フルートと最低音が同じぐらい(、実用的な最高音が1オクターブぐらい低いです。ソロは、フルートの「厳しい」〜「きれい」ぐらいの音域で振ると上手くいきます。

(注)ところで、フルートの低音域、実は、音そのものが小さいわけではなく、騒音や噪音(打楽器、固体リード楽器など)が入ると、フルートの音だと識別しにくくなるだけです。(聴衆含めて)周りが静かなら、低音域も使えます。また、注意深い聴衆には録音以上にがっつり聞こえております(この前、金管のサポートだと思ってテキトーに吹いてたら、後で客から「フルート上手いね」と来た。ドキッ!・・・廃忘・・・くれぐれも注意して下さい)



クラリネット
「吹奏楽の顔」B♭クラリネットのことです。
E♭クラリネットは、4度上で、同じような特徴を持ちます。
H080217cl
音域に名前がついています。
ただ、オケのソロの場合の分類だと思います。指揮者や編曲者のアフターサービスで先に言う必要はないというか、奏者に対してこっちから「この音域は・・・」なんて能書き始めると、ちょっと気障な感じです。
(1)シャルモー音域(低音域)
音量や響く音は得られませんが、一見ぶっきらぼうでも、そこはかとない暖かみを持つ音域です。
ただし、打楽器も含めて、この音域のライバルは多く、フォルテの場面では消されてしまうので、相当薄い場面のソロやパートソリで、かなり効果的です。
高音を誰が担当するのだろうか?という問題は常にありますが、チャンスがあったら使いたい音域です。
(2)のど音(中音域)
クラリネットの弱点です。管の長さを有効に使えず、シャルモー以上に響く音が出せません。
低い方から飛び出す分には大丈夫だと思いますが、伴奏の音が大きくてクラリネットのメロディだけが(3)以上の高い音からこの音域に降りてくると、音が沈んでしまうと思います。そうでなければ、普通に使って問題ありません(金管ほどクリティカルではない)。
(3)クラリーノ(最良音域)
クラリネットのメロディーは、この音域で動かすと良いです。吹奏楽の顔です。また、管弦楽を吹奏楽にする場合に、クラリネットパート単独でバイオリンパートを担当できます。
(3)高音域
市販の運指標には上図の音符の1オクターブ上まで書いてあり、殆どの奏者が普通に音を出すことができます。ただし、音色がキンキンし、音程も不安定(人それぞれ)になるので、合奏ではやめた方が無難です。管弦楽のコピーの時にバイオリンを追いかけるべきか判断に迷うところです。
基本的には、やめた方が良いです。奏者、聴衆両方から苦情が来ますから。
ただ、この音域もクラリネットの魅力の1つで、演奏者が1人なら音程の問題を回避できるので、ソロに極めて有効です。

【クラリネットとサックスのユニゾン】
クッリネットをオクターブ上にすると、クラリネットが主体な感じになり、同じオクターブだと、混ざった感じになるか、サックスが強く吹けばサックスが主体な感じになり、弱く吹けばクラリネットをサックスがサポートしている感じになります。オクターブが同じの場合、通常は(某バンドを除く)サックスが弱く吹くと思うので、サックスの音が欲しい場合は、楽譜にその旨書くか、指揮者が指示する必要があるでしょう。



サックス
H080217sax
上図の通りです。この範囲なら何をやらされても一切文句は言いません。
図より高い音が出せます。これは奏者と相談して下さい。
奏者の皆様。そういうことです。カタログの音域内なら、高くても低くても均質な音が出ます。なので、音域の範囲内で「高い」と奏者が主張しても客にはわかってもらえません。なので、上図以上に高い音を出すか、音色を変えるかしないと、ハイノートヒットした感じが出ません。


その他
H080217other
低音楽器の一般的な音域です(楽器のモデルによって異なります)。
皆、意外と高い音を出せます。コントラバスはちょっと厳しいかもしれませんが、低音楽器の音域は広く、木管群と一緒に速い動きができますし、テナーサックスみたいに普通にソロも演奏できます。
ベースの楽譜には音符が3つ書いてありますが、真ん中の音符を超えると第2弦以下が使えず、一番高い弦1本で弾く(面倒臭い)という意味です。

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2008年2月16日 (土)

吹奏楽の編曲(その2) 金管の音域

金管楽器の音域です。
もちろん、教本や楽器のカタログ、或いは音域を解説したページの検索で調べることもできますが、金管楽器の場合は、木管楽器や打楽器と異なり、カタログスペックが出せないと考えた方が無難です。
市販の教本とちょっと違いますが、このぐらいがアマチュアの現実の範囲です。
楽譜は全てC譜です。



トランペット
H080216tp1
H080216tp2
上図の一番左が、一般的音域です。このぐらいは何も考えずに書いてもほぼ問題ないでしょう。
ハーモナイズは Close Voising(密集和音)が向きます。
以下、各論です。
(1)
教本には「出る」と書いてありますが、どうしても必要でなければ、やめた方が良いと思います。
(2)
ここは「低い」です。
必要な場合は普通に使え、(3)の流れで(2)に飛び出しても問題ありませんが、好んで使う必要はないと思います。
(3)
ここは「普通」です。
初心者や調子が悪い者(社会人だからしょうがないです)でも吹けますし、メロディーに、ハーモニーに、何かと使えると思います。ただし、トランペットが「ブラスの王者」としての本領を発揮するのはもっと上です。この音域のソロやパートソリの場合は、伴奏を薄めにした方が良いと思います。
(4)
ここは「ちょっと高い」です。
そして、(4)〜(5)の音域が、吹奏楽での「ブラスの王者」の出番になります。逆に、小さい音は出しにくいようで、メロディー(ハーモナイズ可)やキメ、格好良い伴奏なんかに向きます。
また、(4)以上の音域ばかりを繰り返させると、「高い」と苦情が来ることがあります。
(5)
ここは「高い」です。そして、この辺から奏者の技術差が出始めます。
(4)と合わせて「ブラスの王者」の音域なので、ここぞという場面での華やかなメロディーにどうぞ。小さい音には向きません。
ハーモナイズも一応可能です(吹奏楽だと苦情が来ることがありますが、ビッグバンドでは常識)。ただし、1番上を吹く人が音量を出せる人でないと、(4)の音域を吹いている2番以下に負けてしまうことがあります。また、この辺りからは、密集和音に拘らずに、2ndと5度以上離して1stを浮かせる手もあります。
※ただし、この音域は別名「魔の音域(造語)」と呼ばれています。調子が悪いと外す確率が高くなります(特にF#)。(6)が出せる人には、実は(6)より危険な音域かもしれないということを、頭に置いて下さい。場合によっては、敢えて(6)を頑張って出してもらう方が安全なこともあります(おっと・・・)。
(6)
ここは「要相談」です。
出る人にとっては「見せ場」でもあるし、出ない人は全く出ません。速いメロディはやめた方が良いです(できる人はできる)。
予め技量がわからない吹奏楽団の為に書く場合は、やめた方が良いです。
もちろん、小さい音は出ません。


ホルン
H080216hn1
H080216hn2
上図の一番左が、一般的音域です。低い音を使うことはあまりないと思うので、特に示しませんでした。
ハーモナイズは Close Voising(密集和音)が向きます。
以下、各論です。
(1)
教本には「出る」と書いてありますが、どうしても必要でなければ、やめた方が良いと思います。
(2)
ここは「低い」です。
特に苦情が来ることはありませんが、トロンボーンなどに消されてしまいます。
(3)
ここは「普通」です。
(2)と合わせて、奏者が吹きやすいみたいです。ただし、あまり通らず、柔らかいメロディーや伴奏向きです。ホルンが本領を発揮するのはもっと上の音域です。
(4)
ここは「ちょっと高い」です。
そして、最も効果的な音域になります。メロディー、聞こえる対旋律、伴奏の後打ちなど、何でも使えます。
また、(4)以上の音域ばかりを繰り返させると、「高い」と苦情が来ることがあります。
(5)
ここは「高い」です。そして、この辺から奏者の技術差が出始めます。
(4)と合わせて最も効果的な音域になり、周りが別なことをやっていても、鋭く通る音を出すことができます。ここぞという場面での華やかなメロディーや伴奏にどうぞ。小さい音には向きません。
ハーモナイズも一応可能ですが、マーチの後打ちのようなのには向きません。場合によっては、ユニゾンにするか、上下を分けてしまって2音にするなどの工夫をして使うと良いかもしれません。
(6)
ここは「要相談」です。
出る人にとっては「見せ場」でもあるし、出ない人は全く出ません。
予め技量がわからない吹奏楽団の為に書く場合は、やめた方が良いです。
もちろん、小さい音は出ません。
※ホルンは難しい楽器で、ある程度発音ができる人でないと、普通の吹奏楽の楽譜を吹いて楽しむことすらできないため「吹ける=それなりに上手い」と考え、一般的にそれほど手加減は必要ないと思います。


トロンボーン
H080216tb1
H080216tb2
上図の一番左が、一般的音域です。このぐらいは何も考えずに書いても問題ないでしょう。
(吹奏楽の多くの人が持っている太管テナーバス(F管付き)を想定しています)
ハーモナイズは Open Voising(離散和音)に耐えます。

なお、ユーホニウムもこれに準じます(本当は低い方が違うけど、まぁ、低い音を使うこともないと思うので省略します)。ただし、ユーホニウムは音域の苦情が少なく、広い音域のメロディーを振って大丈夫です。

以下、各論です。
(1)
バス・トロンボーン用と考えると良いでしょう。そして、今までの金管と違って低音でバリバリ行けます。
吹奏楽の普通の人が持っている太管テナーバス(F管付き)の場合は出すことができますが、B♭シングルの人がいたりすると、出ない音があります(全部ではない)。
(2)
ここは「低い」です。
(3)よりも僅かに弱くなりますが、十分フォルテ演奏が可能です。細管の人だと、かなり弱くなります。
(3)
ここは「普通」です。
トロンボーンは「普通」が広いのが特徴で、この中音域でガンガン行けます。下に向かってクレッシェンドなどの低音技も可能です。
この音域はトロンボーンの独壇場で、しかもそんなに人数居れる音域じゃないので、吹奏楽や金管アンサンブルだとホルンが上に押し出されてしまいます。
(4)
ここは「ちょっと高い」です。
実は運動性が高く、ジャズの人なんかがソロで速いフレーズを吹く音域なんですが、吹奏楽にとっては「ちょい高」な感じがして、人によっては音が細くなり始めます。和声の関係で上に押し出された1stや2ndの場合は仕方ないですが、特段必要がなければ避けた方が無難かもしれません。
また、(3)以上の音域ばかりを繰り返させると、「高い」と苦情が来ることがあります。
※ちなみに「魔の音域(造語)」です。(3)以下に比べて音程とりにくいみたいです。
(5)
ここは「高い」です。
そして、この辺から奏者の技術差が出始めます・・・というレベルではなく、もう相談した方が無難です。かなり音程がとりにくいみたいです。あっ、相談すると確実に「やめてくれ」と言われるので、部分的に、多少の外しを覚悟で書く感じでしょうか?
(6)
ここは「要相談」です。
使いこなす人もたまにいます、ぐらいのレベルでやめた方が良いです。もちろん、小さい音は出にくいのですが・・・なんて言うまでもなく、大きかろうが小さかろうが、この音域を使いこなす人は相当上手く、何でもありだと思います。



チューバ
H080216tu
図の一番左が、一般的音域です。この音域でボンボンやって問題ありません。
楽器のメカニズムによって音域が違いますが、普通の人が持っているB♭管を想定します。
以下、各論です。
(1)
十分ボンボンができますが、全体がフォルテの場面だと、この音域の低めの方だと、1人では低音を支えきれません。どうしても低い音でないと駄目な場合は、チューバが複数居るときは1人をオクターブ上にするとか、他の低音楽器とのコンビで活用した方が良いでしょう。
なお、殆どの楽器(4ロータリー)で、もっと低い音が出せます。この音域を下に飛び出しても殆ど問題ありません。
(2)
ここは「普通」です。低音の長い音に、ボンボンに、どんどん使って下さい。
(3)
ここは「ちょっと高い」です。が、普通にボンボンOKです。
ただ、(3)以上の音域ばかりを繰り返させると、「高い」と苦情が来ることがあります。
(4)
ここは「要相談」です。
あまり使うことがないと思いますが、予め技量がわからない吹奏楽団の為に書く場合は、やめた方が良いです。
ただし、上手い人の中には「高音を使いたくて使いたくて仕方がない」と、燃える闘魂を内に秘めている人も居るので、ソロなどで相談してみると面白いかもしれません。
※チューバは持久力があります。マーチや何とか序曲の類いの、ずっとフォルテで打楽器が鳴っているような曲の場合、ずっとボンボンを担当させても苦情は来ません。万一苦情が来たら「じゃぁ、メロディやって」と言えば、黙って帰って行くでしょう(笑)。

木管と打楽器の音域は省略します。
簡単に説明すると、打楽器とサックス(カタログ外の高音要相談)は楽器のカタログ通り、フルートは真ん中のCから上3オクターブあって高い音ほどフォルテ向きで、全体フォルテの場面では下の1オクターブは殆ど役に立たない、オーボエは真ん中のCから上約2オクターブで、2オクターブ目の方が音がきれい、楽器の種類を問わず、フィンガリングは音域がどうだろうが文句は言わせない。以上です。

・・・クラリネット忘れた・・・ですが、これはちょっと微妙なので、次回に回します。

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吹奏楽の編曲(その1) 楽器別性格

不穏当な記述がありますが、気にしないで下さい。また、非常に「人による」「バンドによる(バンド名はあえて言いません)」話かもしれません。

もちろん、プロなら「金払っているからやれ」で済む話なのですが、アマチュアの場合は「メロディがない」的な苦情が来ることが多々あります。
そこで、メロディ欲しい度を楽器別に分類してみます。

Aグループ(凄く欲しい):フルート、オーボエ、クラリネット、トランペット
Bグループ(あるにこしたことはない):サックス、ホルン、ユーホニウム
Cグループ(要らない):トロンボーン、低音群、打楽器

Aグループには、できれば、最低1回ぐらいはメロディを振りたいところです。うるさいですから(笑)。
Bグループですが、楽器のダイナミックレンジが広いため、メロディーを上手に歌う人が多いのですが、(学生さんはどうかわかりませんが)Aグループほどのこだわりはありません。Bグループのサウンドが欲しい時には遠慮なく振りましょう。
Cグループは、メロディ振る前に「本当にCグループじゃないと駄目なのか」を一旦本気で検討することをお奨めします(笑)。ただし、たまにメロディーやソロを振ると喜ばれる・・・こともあります・・・

もちろん、普段の役割分担のセオリーでして、主な場面でAグループにメロディを渡すことを考えると、全体が安定すると思います。

他にも色々書きたいことはありますが、技法とはあまり関係ないので、この辺にしておきましょう。

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2008年2月 6日 (水)

なんちゃってラテンのコーナー アドリブ

アドリブだから何でもよいのですが。
練習がてら、ラテンっぽいソロについて、ちょっと研究してみました。

コードのことはあまり考えません。そして、別に考えなくても、キーがDmだということさえ頭に入れておけば、どう吹いてもそんなに違和感ないと思います。テキトーに何かやっていれば良いのです。はい、テキトーです(企業秘密)。

曲は前回と同じ「鯛に生け簀」のソロの部分。

その前に、メロディのそれぞれの音の役割の復習です。
:オス(拍頭の音:アクセント)
:メス(♂以外:アクセントなし)
C:キャリアウーマン(フレーズの最初と最後:アクセント)
N:オカマ(頭拍がない裏拍:アクセント)
Q:女王様(急な跳躍など:アクセント)
このような個性的な俳優たちが、ドラマを繰り広げて行きます。

その前に、ステージ場での精神的なコツですが、私の場合、あまり考えない、というか、あまり期待しない方が良いみたいです。考えるのは練習の時です。でも、期待しないで気合いを入れるって、結構難しいメンタリティだと思う。いつもできるわけじゃないし、吹いている間に何となくそんな気分になることが多いです。なので、ソロはちょっと長めの方が意外とやりやすかったりします。

さて、生け簀の中の養殖鯛に恋をした天然鯛の物語・・・
(曲の文学的なことも、別に考える必要ありませんが・・・)

楽譜のMIDI

(1)
L080206pic1
ありきたりなフレーズですが・・・
ア:リズム的には「オカマ」ですが、同じ音を繰り返して、「オカマ」のところで音を変えるとラテンっぽくなり、効果的です。
イ:4小節目もフレーズを入れたいので、力を貯めるべく、音を下げます(作曲法の教科書みたいですが)

(2)
L080206pic2
ウから音3つ:裏拍を使った「オカマ」フレーズ。その前は、低い女王様です。
エ:次のフレーズにつなぐためのアウフタクト

(3)
L080206pic3
オ:(2)で出てきたエの分散和音と比較されたい。オの方が跳躍が大きく、フレーズを力強くして盛り上げて行く。

(4)
L080206pic4
カ(1〜2小節目にかけて):裏拍の「オカマ」フレーズですが、半音階で下がって行きます。半音の下行形はラテンっぽくする最も簡単な方法です。
小節後半の♭はブルーノート。

(5)
L080206pic5
キ、ク:頭拍を吹く「♂」フレーズ。裏拍で展開して来て、盛り上がったところで表拍で強く吹くのも、1つの方法です。
ケ:何だっけ???

(6)L080206pic6
音数が少ないですが、気分的には盛り上がったところ。「嗚呼、鯛ちゃん!」←byノリスケ

(7)
L080206pic7
本当は(6)で終わりたかったんですが、まだソロは続く。仕方ないので、少しずつ音数を増やしながらフィニッシュの準備。ノリを取り戻すため、頭拍中心「♂」から、少しずつ裏拍の「オカマ」に切り替えて行きます。

(8)
L080206pic8
コ:奥の手「3連符」、これもお手軽にラテンっぽくする方法です。
サ:実は、本多俊之が「ファット・ママズ・サンバ」で吹いたフレーズのパクり。
シ:オマケ(別に要らない)

誠に簡単ですが、能書きたれている場合じゃないので、これにて終了。

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2008年2月 1日 (金)

並び方の基本的な考え方

多数の演奏者がいるライブハウスやホール。
その並び方にも理論があります。

基本1.下手側優先の原則
Think050607fig01
上図のように、通常は下手側に1st(リーダー)が位置する(新郎新婦)。

基本2.横型と縦型
少人数で各自の楽器が小型の場合は通常、下図のように横に並びます。
理由は互いに動きが見えるのと、互いに聴き合う音量が同じなため合わせやすいから。
ただし、人数が増えすぎると上の利点が消失し、逆に互いに聞こえにくくなります。
そもそもステージに乗らなくなるし、客席による音量のムラが大きくなります。
(何人まで横型が効果的なのかは楽器の種類や楽団による)
Think050607fig02

そこで縦に並んでみます。
Think050607fig03

「これでは合わせられません(左の図)」
どうしても縦に並びたい場合は、右の図のように役割を明確にします。
テンポなど全体の指揮は先頭がします。
ただし、最後尾が先頭に従わない場合は、先頭といえども最後尾に逆らえません。
先頭は指揮者の、最後尾は「第二の指揮者(打楽器、『ブラスの王者Tp』など)」の原始の姿です。

人数が多い場合は縦横を組み合わせることになります。
Think050607fig04
縦方向には楽器の役割別に並び、横方向には似た役割の人が後述の基本3に従って並びます。
また、縦方向の並び順の原則は下の表のとおりです。
Think050607fig05
概ね、指揮者的役割は前列に、第二の指揮者的役割は後列に並べます。
また、奏者同士がコンタクトを取れない人数や曲の場合は当然、指揮者が必要になります。
そしてこの指揮者は、(1)の「せーのっ」で自然に流れを作ることや、個々人の歌う能力と
合わせる判断の殆ど全てを代行することになります。重要な役割です。
そもそも、(1)の「せーのっ」の自然の流れや個々人が自然に歌う音楽に比べて、
誰か1人の指導の元に出来上がる音楽って、その「誰か」が極めて重要になります。
指揮者は全体を使って、個々人の表現力を上回る(少なくとも同等の)「良いもの」を作る義務があります。
(耳が痛いけど)まさに『義務』。「ソロの方が良かった」では人数揃えた楽団が浮かばれません。
逆に言えば「自分が指揮者」の自覚とセンスがあれば小編成でも大編成に劣らない所以でもあります。

基本3.横方向の並び方
次に、アンサンブルの軸となる横方向の1st,2nd・・・の並び方を考えてみます。
仮に三重奏なら数学的には6とおりありますが、まともに考えられるのは以下の3とおりです。

Think050607fig06
「音程順型」は下手側から1st,2nd・・・の順に並ぶ方法で、最も無難な並び方です。
 特に音程面で、2ndは1st,3rdは2ndと、近い音程を順次目標にできる『音程重視』の並び方と言えます。
「高音中央型」は、1stが中央(4人以上の場合は中央付近)に並ぶ方法です。
 音程の接近した2nd,3rdが離れるかわりに、
 両方の目標が1stになる『リズム重視』の並び方、特に1stの『メロディ重視』でもあります。
「低音中央型」は、3rd(4人以上の場合は最下声)が中央に並ぶ方法です。
 音程や動きが接近した1st,2ndが離れるかわりに、
 リズム感を決める低音が目標になる、『リズム重視』の並び方、特に低音の『ノリ重視』でもあります。

ちなみに「シャーマンブラス」は現在「低音中央型」を主に用いています。
低音(チューバ)を目標に全体としての縦が合いやすく、アマチュア向けだと思います。
また、中央に位置することにより、不安感から来るチューバのミス(=曲の崩壊)が減ります。

次に、横方向の並び方の形を考えてみます。
下の図のように、直線状に並ぶのと、扇形に並ぶ方法があります。
Think050607fig07
直線型(左図)の特徴は、見栄えが良いことと(客から顔が見える)、音の飛びがよいこと(特に金管)で、
扇形(右図)の特徴は何と言っても合わせやすい(奏者の顔が見え、お互いに聴きやすい)ことです。
見栄えはともかく、直線型は『サウンド重視』、扇形は『アンサンブル感重視』と言えます。

ちなみに「シャーマンブラス」では曲に合わせて両方用います。
Sax四重奏などでは迷わず扇形ですが、ベルの向きを考えると金管の場合は直線型向きなんだと思います。

実例
(1) 4人の場合
下の図はSax四重奏の例です。
Think050607fig08
いずれにせよ形は扇形(木管楽器の場合は扇形のデメリットが少なく、また難しい曲が多いため『アンサンブル感重視』)。
並び順は2通りありますが、コンクールなどでの「難しい曲」には右図の低音中央型が多く用いられます。
また、右図は「1st,2nd分離型」でもあり、弦楽四重奏などでも用いられる形です。
この「分離」を、1stと2ndが対向する扇形で解消するのがポイントです。

もう1つ例を挙げます。
Think050607fig09
直線型ですが、ポイントは下手側の1stと2ndを入れ替えていることです。
これによってリズム重視のJazzに対応した高音中央型に近い状態にします。
また、最下手になった2ndは1stと同様にアドリブやハイノートを担当する「二枚目」役になります。

(2) 5人の場合
5人組の代表は金管五重奏です(木管五重奏もありますが、金管の方が音域がわかりやすいので)。
Think050607fig10
Sax四重奏と同様に、音程順型と低音中央型がありますが、金管の場合いずれもよく用いられます。
速いフィンガリング(リズム重視)の曲が多いSaxに対して、金管はハーモニーを聴かせる(音程重視)の曲も多いためと思われます。
図は扇形ですが、金管では直線型も特に有効です。ただしこの場合は音程順に並ばないと1stと2ndが「分離」されてしまいます。

もう1つ例を挙げます。
Think050607fig11
(図のAはAlto、TはTenor、Bはbaritoneの意味、例えばA-1は1st Altoのこと)
面白い並び方です。特に左上図は完全な高音中央型で、まさにリズム重視。
ところで、テナーの2人がクラリネットに持ち替えると(左下図)音程順になります。ムーンライトセレナーデなんかがこれですね。
また最近では、右上・右下図のように上手側を音程順型にしてセクションの一体感を目指す場合も多くなっています。
(完全な音程順型もあります。図略)
まあ、バリサクの隣にアルトが居たってしょうがないからね・・・でもこれだとテナーバトルがやりづらい・・・
ところで、最も面白いのは呼び方で「1st(Lead) Alto, 2nd Tenor, 3rd Alto, 4th Tenor」となってます。
これは別に音程順ではなくて、最下手の「2nd」Tenorはやはり金管と同様に「二枚目」なのです。
何故Tenorが最下手に居なければならないか? それは「カッコイイから」・・・と私は思っています。

(2) 大勢の場合や、楽器の種類が混合している場合
人数が多い場合や楽器が大きい場合は縦型も使います。
まずはJazzから。
Think050607fig12
似た役割の楽器をできるだけ横に並べながら、原則に従って縦に積んでいます。
細かい楽器は前、大雑把で響く楽器は後ろ、主役は前、ですね。

続いてクラシック。
Think050607fig13
実際は前の方は扇形に並びます)
・・・地域の名前が付いているぐらいなので「どっちでもいい」のかもしれないけど・・・
横並びが強いアメリカンは「せーのっ」の要素が大きくて、
縦積みが強いヨーロピアンは打楽器の「第2の指揮者」的要素が大きいのだと思います。
いずれにせよここまで編成が大きくなると全ては指揮者次第。
強いて使い分けるなら、木琴や鉄琴の木管群との連動が強い緻密な曲はアメリカン、
太鼓類でバカスカ行くならヨーロピアンなのでしょうか?
・・・なんかイメージ逆のような気がしないでもないですが・・・偏見か?・・・

創作
「シャーマンブラス」は編成が安定していないので、曲毎に並びを考えなければなりません。
これまでの「力作」をいくつか挙げてみます。
Think050607fig14
まずは扇形の並びですが、以下の考え方で並べました。
1.低音中央型(Tu チューバ 図の薄緑)にする。←この楽団では最重要考慮事項!
2.指揮担当者(図の緑の人)はできるだけ最下手のわかりやすい位置に。
3.役割が似た楽器はなるべく近くに横並びに寄せておく。
 ↑これだけ人数が多いといくら扇形も聴覚的にはかなり厳しい。
すると、図のようにTuを囲んで高音群(Sx サックス, Cl クラリネット, Hn ホルン, Tp トランペット)を下手に
中音群(Tb トロンボーン)を上手に配置するのが自然な並び方になります。
ただし、右図では指揮+ソリストのTpが中央付近に埋まってしまいました。
ところが、扇の右翼(下手側)を縦積みと考えると、音が小さい順(Cl→Hn→Tp)でないとまずいわけで、
なかなかジレンマなところです。
また、私も演奏に加わっていますが(Sx)、
いくら扇形にしても上手側が遠すぎて音でも気分的にも指揮しきれなかったのも事実です。

次のさらなる力作(構想じゃありません。実際にこれで演奏しました)。
Think050607fig15
考え方は前述の扇形と類似なのですが、ここまで人数が増えると扇形1列では無理。
ただし、なるべく扇形にしておかないと指揮しにくいし、縦の列は最小限にしないとバランスがとりづらい。
縦積みの理論を応用して「木管(hn含む)前、Tp後ろ」「Tb前、Tu後ろ」の形を作ります。
後列はひな壇があるため直線型を採用。指揮はSxがやるので大丈夫。
すると、この並び方になってしまいました。
Tuが端に寄ってしまいましたが、勿論これが悪いわけではなく(むしろ普通か)、
私(Sx)が頑張って指揮するのと、前列がTuの音量やリズムに合わせれば何とかなります。
また、幸いにして私の作曲だったため、並び方を考えながら曲を書くことができました。

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2008年1月28日 (月)

【総合目次】なんちゃってラテンのコーナー

「なんちゃってラテンのコーナー」に目次を作りました。

総合(その1:釈迦族)
総合(その2:カツツコ族)
総合(その3:クラーベ)
打楽器、ベース:おあつらえ向きのページを見つけたので、http://www1.ttcn.ne.jp/~isoboo/latin/latin.htmlを見て下さい。スミマセン。
ピアノ(その1:リズム編1)
ピアノ(その2:リズム編2)
メロディ18禁
アドリブ

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2008年1月27日 (日)

なんちゃってラテンのコーナー メロディ

今回は、メロディのアクセント位置について検討します。
「適当で良い」という話もありますが、真面目にやってみます。

まず、ジャズみたいに裏拍重視はあんまり考えなくても良いです。基本的に普通の2拍子です。ただし、行進曲などと違って「釈迦」や「カツツコ」の細かい拍取りが存在します。具体的には、長い音符の演奏中も8分音符で考えることになります。
L080127pic1
楽譜の上段は、下段のように捉えて演奏します。
(なので、何も書いてない4分音符などはテヌートなのです)


次に、
性差別的表現を含み・・・それより、何となく教育に悪くて、中高生の吹奏楽部員が読んだらどうしよう、という気もしないでもないですが、
メロディの構成音には性別や、それぞれの嗜好があります。

オス(♂):拍の頭にある音(アクセント)
メス(♀):それ以外の位置にある音(普通に)

L080127pic2

それから、♂と♀は隣り合っていることが多く、多くの場合、音が2つ並んでいる場合は音量が違い、どちらかにアクセントです。

ただし、世の中色々と事情があって、普通の♂♀以外に色々なのがいます。

キャリアウーマン(C)
フレーズの最初や最後の音は、多くの場合アクセント。
上の楽譜は、この方がかっこいいかと。
L080127pic3
本来は♀が担当する裏拍にいるのに、会社都合で重要な役割を任せられた音です。

オカマ(N)最重要
♂が休符や、タイでつながっていて不在の時の、隣の音です(アクセント)。
L080127pic4
正確には、普段は趣味の関係で♀の位置にいるけど、♂がいない時に♂の役割をする「バイセクシャル」と呼ぶべきか・・・

女王様(Q)
今までの法則に関係なくアクセントがついた音。
L080127pic45
楽譜の2小節目の2番目の音が女王様
スポット的に高い音など。アドリブなら、奏者の意思であっちこっちに突っ込みます。
楽譜の2小節目は♂と女王様とキャリアウーマンが張り合ってていて凄いことに・・・あまりラテンっぽくない楽譜例だったみたい。スミマセン。

さて、譜例を示します。曲は前回と同じ「鯛に生け簀」ですが、やはり著作権の関係でメロディーをのせられないため、リズムのみです。練習記号がついてますが、これは業務連絡用で、関係者以外の方は気にしないで下さい。

【楽譜の凡例を再掲】
:オス(拍頭の音:アクセント)
:メス(アクセントなし)
C:キャリアウーマン(フレーズの最初と最後:アクセント)
N:オカマ(拍頭が抜けた時の前後の音での代理:アクセント)
Q:女王様(好きな所にアクセント)

【例1】
L080127pic5
原曲の都合で、わかりにくいのが最初に出てきてしまいましたが、アクセントの位置はここです。
♂と♀が何となく交互に並んでいて、拍の頭に♂(アクセント)が、それ以外が♀になります。休符を挟まないで♀と隣り合っている♂はテヌートです。♀の直前まで伸ばします。
さらに、2小節目の最後の音「♂不在の時はオカマが♂になる」
それと、3小節目に女王様が登場。

【例2】
L080127pic6
オカマ(アクセント)でフレーズを作っているような感じ。
2小節目と3小節目の間の関係:拍頭の音がなくて前後に音がある場合、前の音が優先(アクセント)になります。ラテンの場合、食ってる音(カツツコ族の「コ」)の方が強いのです。
最後の音:上の法則はあるのですが、メロディの最後の音なので、キャリアウーマンを派遣(アクセント:最後までしっかり吹く)。仮にメロディーが続くようならアクセントではなく、寿退職でメロディーラインに埋まります。

【例3】
L080127pic7
これはわかりやすいかと。♂が中心のフレーズ。
一小節目の力関係は、同じか、オカマより♂が上です。オカマが近くにいてもうろたえずに・・・

【例4】
L080127pic8
これもオカマ中心のきれいなフレーズ。
奇数番目の音を狙ってアクセントを付けていくのがコツ。

【例5】
L080127pic9
【例5】
音数が少ないフレーズですが、♂やオカマの間にも力関係があって、小節の強拍(1拍目)、食ってる音(カツツコ族の「コ」)が優先になります。結果的に、フレーズの奇数番目の音を狙って吹いて行くような呼吸になります。

【例6】例5の直後
L080127pica
上に似ていて、やはり奇数番目の音を狙って吹くような流れで。

最後に・・・
現代社会は男女平等だし、あらゆる思想や行動も自由です。
なので、上記の流れが現実的にあることを理解した上で、全部フォルテが無難です。
音量差を大きく取れば躍動感があるし、小さくすれば理知的な感じになります。

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2008年1月 3日 (木)

なんちゃってラテンのコーナー 総合(その3:クラーベ)

ここで、ラテンとはマンボやサルサのことを指します。

クラーベとは以下の楽譜のリズムのことです。
L080102pic1
サッカーの応援の手拍子で使うリズムですな。
「3-2(Three-Two)」と「2-3(Two-Three)」の2種類があります。(1小節目と2小節目が入れ替わっているだけです)
【注意】「3-2」と「2-3」は混在させてはいけません!どっちかに決めて下さい。

この「クラーベ」が、「釈迦族」、「カツツコ族」と並んで、いや、それ以上に重要なラテンのファクターとなります。
そして、恐らくこれは、ジャンルやバンドの決め事みたいなもので、「なんでやねん?」的に文句言っても、あまり意味ないと思います。「このリズムに乗って演奏しなさい!」という掟みたいなものかと。

でも、少し深入りしてみます。何かの参考にはなるかもしれません。

クラーベは、アフリカに元々(有史以前から?)あるリズムです。
何故ラテンなのにアフリカなのかというと・・・植民地時代のキューバなどにアフリカ人奴隷が連れて行かれて、現地人とともに過酷な重労働をさせられていたのですが、現地人が皆死んじゃって、体力的に丈夫だったため生き残ったアフリカ人の音楽が残った。それがラテン・・・です。ヒエー!
逆にブラジルはそうならなかったので黄色人種の音楽が残り、これがサンバ。同じラテンでも感じが違います。日本の各地のお祭りでサルサよりもサンバを選ぶのは、同じ黄色人種で踊りやすいから、かもしれません。

次に、楽典的に詳しく分析してみます。新説かもしれません(笑)

クラーベは「決め事」なのですが、最小分解能そのものである8分音符の「釈迦」や「カツツコ」を示しても、決め事にはなりません。そこで、大きなノリ、すなわち奇数小節と偶数小節の使い分けを「決める」ことにします。

まず、前回の「カツツコ」のテンポを半分にします。
L080102pic2

次に、半分テンポになった「カツツコ」「カ・・コ」「・ツツ・」に分けます。これで1小節目と2小節目に違いが出ました。
L080102pic3

ただしこれだと、弟1回で「そんなに重要じゃない」と書いた4分音符だけになっちゃって、最も重要な8分音符の「カツツコ族」を全く反映できなくなります。そこで、元の「カツツコ」の1小節目の4番目の音を加えます。
L080102pic4
これで完成です。小節をひっくり返せば「2-3」になります。

追伸:参考までに。

○追伸1 「3-2」と「2-3」はどう違うのか?
指揮者やバンマスがメロディーの形を見て決めれば良いと思います。元々ラテンの曲ならすぐわかるし、その他のジャンルとのフュージョンの場合も、大概の楽曲はどっちか(或いは両方)に乗ると思います。決めたら全員が統一すること!
強いて考えるなら、「3」の方がより細かい「カツツコ」を表現していて、跳ねている。「2」の方は落ち着いている。と言えると思います。
たぶん、落ち着いた方が後になる「3-2」が落ち着いた感じ、跳ねた方が後になる「2-3」が躍動感がある感じなのでしょう。日本だと、和歌や演歌の歌詞の「七五調」と「五七調」の違いや、「ワッショイ、ワッショイ・・・」と「セイヤッ、セイヤッ・・・」の違いに相当するのかもしれません。

○追伸2 他じゃ駄目なのか?(似たようなのが沢山考えられるが・・・)
その通り。
2/2拍子で8分音符の「カツツコ」を重視しながら、数個の音で2小節単位の大きなノリを表現せよ、と言うなら似たようなのが沢山ありそうです・・・でもまぁ・・・合奏の決め事だから、指揮者やバンマスに従いましょう・・・元々「クラーベ」は「鍵」という意味で、たぶん「皆でこのフィーリングで演奏しよう!」という決め事だと思います。「釈迦」や「カツツコ」の感じ方は人それぞれだけど、クラベスの人がクラーベを示すことによって合わせるのだと思います。
例えば、下のような「ルンバ・クラーベ」というのもあります。(今まで示したのは「ソン・クラーベ」と言います)
L080102pic5
他にも、テレビなどでアフリカのリズムを見ていると、言語や方言みたいに、すごく色々あると思いますが、ラテンと言えば概ねソン・クラーベ、と思えば大体何とかなると思います。以下、都合によりソン・クラーベのみで話を進めます。

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2007年12月29日 (土)

なんちゃってラテンのコーナー 総合(その2:カツツコ族)

ここで、ラテンとはマンボやサルサのことを指します。

さて、今回は(なんちゃってですが)本格的なラテンフィーリングをば・・・

まず、繰り返しになりますが、ラテンのタイム感の最小単位は8分音符。
L0712291pic1_2

次いで、最も強い拍感と思われるのは、2分音符の2拍子感(下の楽譜の最上段)。
そして、次がポイントになるのですが、上図の2拍子感(2分音符)をいきなり4分割して拍感を感じると良いと思います(下の楽譜の中段)。
L0712292pic1
都合、2分音符単位の大きな流れと8分音符の細かい粒が同時に流れている感じです。

2分音符の下の4分音符のフィーリングも、ないことはないと思いますが、ジャズみたいに特段強調されることはないと思います(ジャズっぽく演奏するなら別です)。

さて、上述の「2/2拍子の2分音符をいきなり4分割」の感覚を最も顕著に実現させる表現は、以下のようなものです。
L071229pic2
これを仮称「カツツコ族」と命名します。

(注意)
あくまでも「4分割の最初と最後に注目」です。不均質な2分割2分割(びっこを引いたり、スキップの「♪かっこ」)ではありません。2番目と3番目の「♪ツ」のタイミングはしっかり捉えて、「♪カツツコ」でどうぞ。

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なんちゃってラテンのコーナー 総合(その1:釈迦族)

なんちゃってラテンのコーナーを始めます(既に一部始めてます)。

ここで、ラテンとはマンボやサルサのことを指します。

今回は、ラテンに限らずポップス系全体の基本になります。こちらが得意な人には、当たり前過ぎてあまり関係ないかと。普段吹奏楽やクラシックなど指揮者がある音楽を演奏している人向けです。ついでに、恐らく(恐ろしいことに)クラシック的な「曲の解釈」よりも遥かに重要と思われます。

まず、音符(タイム感)の最小単位を見極めます。ラテンの2/2拍子の表記の場合、8分音符がこれに当たります。
※1装飾音は除きます。
※4/4拍子の楽譜が手元にある場合は16分音符を8分音符に読み直して下さい。

L0712291pic1

演奏中は常にこの最小単位を感じておきます。頭の中にシェーカーやマラカスを鳴らしておいて(当該楽器の奏者は実際に鳴らして)タイミングをとります。

この「頭の中のシェーカー」を常にシャカシャカ(釈迦釈迦)やっておいて下さい。

このことは、曲が速くても遅くても、Accel.してもrit.しても当てはまります。

全ての音が途中で消える「ブレイク」の多くもこの感覚で、「間」で考えずに、全員無音の間に全員が>シャカシャカ(釈迦釈迦)で休符を数えていて、音符があるタイミングで入ります。
(楽団内で指揮などのルールを決めた場合は別です)

以上が基本の感覚になります。

(注)「機械的に演奏しろ」という意味ではありません。自分なりのシャカシャカ(釈迦釈迦)を感じておくのが重要で、釈迦自体が揺れることもあります。ソロやハイノートなどでヒートアップした時も、メロディーをまったりと歌うときも、シャカシャカ(釈迦釈迦)が頭から飛ばないようにしておくと、カッコイイ演奏ができるかと思います。
また、シャカシャカ(釈迦釈迦)を踏まえた上でテンポを揺らして演奏しても良いですが、ラテンの場合は思ったより効果がないようです。シャカシャカ(釈迦釈迦)通りに音を埋める方が無難です。

次に、シャカシャカ(釈迦釈迦)をもう少し分析します。

シャカシャカ(釈迦釈迦)には、釈(表拍) )迦(裏拍)があります。
実際に強弱や音色に意図的に(頭脳で考えて)表現するかは別として、釈(表拍) )迦(裏拍)は質が異なる感覚で、コイツを感じながら演奏できるかがポイントと思います。

上手く伝わるかどうか自信ありませんが、いくつか喩えてみます。
例えば走る動作には「蹴り」と「着地」が連続しています。どちらかが釈(表拍)迦(裏拍)に相当します。そして、一定の速度で走り続けるためには、蹴りと着地の動作の間にいちいち止まって「間」を取り直さないで、反動をつけて連続して行います。これが基本のノリになります。
他には、釣り竿や鞭を振り回す時の動作に似ているかもしれません。そもそも、「釈迦釈迦・・・」と口で言う時、では舌の前の方を使いでは舌の後ろの方を使い、舌が前後に往復するような使い方になります。これが「釈迦族」の所以です。

最後に、釈迦には階層があります。

L0712291pic2

上図のように、複数小節単位から細かい音符まで、各階層にそれぞれ釈迦の概念があり、これらを同時に感じながらの演奏になります。

もちろん、もっと大きく捉えて、楽曲全体の釈迦も考えられますが、あまり考えすぎると「曲の解釈」に拘りすぎて頭でっかちになるのもなんなので、ホドホドに。

また、楽譜を読みながら1音つずつ「音符だ」「また音符だ」「また音符だ」・・・とやっていると、結果的に釈迦にならずに、「釈釈釈釈釈釈釈釈・・・」となってしまい、表裏の表現が十分でなくなるかもしれません。複数の音符や休符を「一連のシャカシャカ(釈迦釈迦)の固まり」した捉えると良いでしょう。

(追伸)
「そもそも、楽譜が読めて(或いは聴音できて)指が回る奴以外はお断り?」
という苦情が聞こえてきますが、正直なところ、そういう面はかなりあると思います。奏者の音楽的感性やモチベーションとは全く別に、上手いものは上手いしそうでないものはそうでないという、実用音楽としてのある程度ドライな側面も持っていると割り切って、できる範囲で楽しみますかね。
いずれにせよ、フィーリングは人それぞれだと思いますが、楽器の操作法自体にそれなりの練習が必要だと思います。

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2007年11月11日 (日)

なんちゃってラテンのコーナー ピアノ(その2:リズム編2)

さて、今回はクラーベも考えてみます。
※Three-TwoかTwo-Threeか紛らわしいので、奇数番目小節と偶数番目小節でコードを変えました。Voicingの問題は次回以降に考えますが、とりあえずそれっぽいものを・・・

L07111021

こうやってクラーベそのものを弾いても良いですが、何となくやり過ぎ感があるというか・・・クラーベはクラベスがやっていますし。

「カツツコ」を意識して音を入れつつ、クラーベにもちょっとだけ乗るのが大人の演奏ではないでしょうか? 具体的には、「カツツコ」でタイミングをとりつつも、各小節のクラーベのタイミングの1つぐらいを狙う、或いは休符にして避ける、などが考えられます。
※クラーベそのものをやらされるクラベスは、そういう意味でも難しい楽器なのかもしれません。「叩かない」というテクニックが使えませんから。

さてさて、以下、順列と組み合わせを考えるとリズムの可能性は膨大な数の、まさに「自由の海」なので、いくつかを私なりにやってみることにします。

まず、前回の楽譜を使って、アクセントの位置と音程を変えてみます。
L071110221 L071110222

リズムの工夫と言うより、弾き方の問題ですかね。

ただ、このパターンは、何となく、カツツコ族の進化の行き止まりというか、「もはやここまで」って感じがします。ここまで出来上がっちゃったものを変化させて工夫するよりも、原点に戻って考え直した方が良さそうな気がします。

というわけで、考え方を変えて、音数を抑えてクラーベの一部を狙ってみます。
L07111023

シンプルで私は結構好きです(ピアノが下手だからではない)

L07111024

ついでに、「スリー」の方の音を長めにして、音を止める瞬間をクラーベに乗っけるとか。

L07111025

こんなのも、裏々拍も表拍も(「カツツコ」の「カ」も「コ」も)弾いてないという、なかなかシブい弾き方では?まさに「弾かない」テクニックだ。
※Voicingがちょっと変わってますが、これは4度音程を利用したもので、Jazzでよくやります。ラテンバンドで管楽器が沢山いる時は雰囲気が浮くかもしれません。他の管楽器がいない場合のソロのバックや、自分のソロの最初の方とか気分を変えたい時などにお使いください。

うーむ、これらは、ラテンのモントゥーノというより、ジャズのバッキングですかね・・・私はこういう弾き方も好きですが・・・何故なら、疲れないから・・・

・・・以下、真面目にやりますが、やはり天文学的な数になりそうなので、Three-TwoとTwo-Three各1つずつやってみます。

【Three-Two】
L011110261 L071110262

左の楽譜の音を狙うことにします。
右の楽譜は、左の楽譜の音を必ず埋めるようにしながら、休符と音符や表拍と裏拍のバランスを考えながら前後に音を鏤めています。表拍と裏拍の両方を使いつつ(カツツコを意識すると自然にそうなります)、「Three」と「Two」が逆転しないように注意しながら(裏拍を多用すると無難です)音を埋めると上手くいくと思います。

【Two--Three】
L071110271 L071110272

右の楽譜は、左の楽譜の音を必ず埋めるようにしながら、休符と音符や表拍と裏拍のバランスを考えながら前後に音を鏤めています。表拍と裏拍の両方を使いつつ(カツツコを意識すると自然にそうなります)、「Three」と「Two」が逆転しないように注意しながら(裏拍を多用すると無難です)音を埋めると上手くいくと思います。

L07111028

私はこっちの方が好きかも。裏拍を沢山使うと実は無難(!) ではありますが、適度に表拍も使いたいですね。もちろん、どっちでも構わない・・・というか、ラテンの曲は長いのが多いので(踊って楽しむものだから?)、色々使い分けると良いのではないでしょうか?

※裏拍の方が無難なのは、表拍が「Three」か「Two」のどっちかを強烈に表現してしまうことがあるのに対して、裏拍はそうなりにくく、いくらラテンでも、やはり「弱い表現」ではあります。

次は、コードと和音の弾き方を考えていきます。
・・・実は既にやっていて、とくに偶数小節のA7でTensionを使いながら、「お辞儀」にならないように大人な感じで柔らかく流れる工夫はしています。次回はその辺を説明してみます。

【いつもの追伸】
単に楽譜をなぞらないで下さい(それならプロをコピーしましょう)。本文は「自力で考えて作る」がテーマです。

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2007年11月10日 (土)

なんちゃってラテンのコーナー ピアノ(その1:リズム編1)

単刀直入に、ピアノ伴奏って、これのことです。(コードは「Dm」です)

【楽譜1】L071110_montuno

上の参考演奏には打楽器とベースが入っています。


ラテンのピアノ伴奏は「モントゥーノ」とか「トゥンバオ」などと呼ばれます。検索をかけると調べられます。ただ、これは日本で言われているもので、どうも違うみたいです。用語については、とりあえず以下のリンク先を参考にしてください(クリックしても飛びません)。
http://www.s-latino.com/reference/m.html
http://www.jazzfusion.com/int2000/matsuokaint.htm
http://www.s-latino.com/reference/t.html

色々ありますな(ピアノ伴奏そのものズハリはないですが・・・)。でも、本文は実際に弾く人のための文章で、鑑賞者や研究者として言語でラテンを語り合うことが目的ではないので、用語の話はこれで終わります。

さて、これまでに(・・・実は「これまで」がまだありません。事情により急いでまして・・・スミマセン)説明したように、ラテンは「カツツコ族(造語)」が根底にあり、そこから出てくる基本パターンの「クラーベ」でリズムをとっていきます。
【楽譜2(Three-Two)】L071110_32
【楽譜3(Two-Three)】L071110_23

さて、ピアノですが、基本的にジャズみたいにアドリブで何を弾いても構いません(違うという説もありますが、このブログの主義は、「あれ駄目これ駄目」より「自由の海の羅針盤」です)

さて、最も高度なテクニックは「何も弾かないこと」です・・・何をさておいても、まずは、サボるチャンスを探すべし!・・・おっと・・・

・・・やはり、弾くことを考えます。スミマセン。

【注】以下、文章の前半より後半が好ましい、というニュアンスは全くありません。どれも立派な演奏です。

まず、「1小節に1音以上弾きましょう(笑)!」(今回の自己ルールです。弾かないのが最も高度なテクニックです(?)
ここで、最も「カツツコ族」がわかりやすい1音のタイミングは下の感じと思われます。
【楽譜4】L071110_mont2

次に、1小節に2音入れてみます。
いくらカツツコ族でも、裏拍ばかりだと「裏の裏は表」になっちゃって弾きにくいことこの上ないので、頭に入れましょう。
【楽譜5】L071110mont3

もう1つの入れ方です。こちらは2拍目の裏に入れます。こちらも、比較的安定したタイミングと思われます(ちなみに、ベースのパターンです)。
【楽譜6】L071110_mont4


参考MIDIは、楽譜5と楽譜6を交代で演奏しています。

このぐらいでスケルトンはできたので、楽譜5を少し工夫してみます。
L071110_mont5
【楽譜7】
【工夫1】
3番目の音を前にずらして2小節目の頭の音をやめます。実は、小節の2拍目の裏々拍(「カツツコ」の「コ」)は、次の小節の頭に接近した「コ」で、次の小節へフィーリングを繋ぐために、かなり重要なタイミングといえます。チャンスがあったら是非弾きたい。ただし、いきなり入れると2小節目の頭とダブってあまり意味がないし(いくらラテンでも、やっぱり頭拍の方が強い)、1小節目の2番目の音の後でタイミングがとりづらく、このままでは弾きにくいです。そこで、2拍目裏々の音を次の小節の頭と考えて、シンコペーションでずらします。
【工夫2】
頭の音がなくなっちゃって「カツツコ」がしにくくなった2小節目にタイミングをとるための音を入れます。全体の音の配置を考えつつ、楽譜6を参考に、2拍目の裏に入れてみます。

これで、伴奏のスケルトンができました。

次に、スケルトンの間に、タイミングをとるための音と入れます。
とりあえず、目標は「できるだけ音数を少なくしつつも、2拍以上休符を続けないこと」にします(※今回だけの暫定自己ルールです)。とりあえず、スケルトン以外の音は単にしました。
【楽譜8】L071110_mont6

これで、楽譜1とリズムは同じになりました。音が違いますが、これは楽譜1でコードの読み替えをしているからで、今回は説明を省略します。
入れ方は色々ありますが、バランスを勘案すると、これが一番無難ですかね。まず、楽譜7で8分休符が3個続くところは、スケルトンを邪魔しないように、真ん中に入れます。
次に、8分休符が2個続くところですが、1小節目は、頭の音の直後に入れると頭でっかちになるので、後ろに入れます。2小節目の2拍目は、その前に裏拍の飛び石音符が連続しているので、この辺で表拍に入れてタイミングのバランスをとる考えです。

次はクラーベの話をしたいところですが、長くなったので次回、ということで。

【いつもの追伸】
単に楽譜をなぞらないで下さい(それならプロをコピーしましょう)。本文は「自力で考えて作る」がテーマです。

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2007年10月22日 (月)

編曲時間 その2

編曲がかなり忙しくなっている今日この頃。
ところで、モーツァルトは1週間で交響曲を書き上げたらしいが、実際に可能なものだろうか?・・・前回の実験はこちらです。簡単に繰り返すと、四重奏の場合、人数が同じ既存楽譜があるなら1時間の編曲時間で演奏4分、大きな編成を小さくするなら演奏1分程度。

さて、大編成になるとどうか?
今回は、シャーマンブラスで使う曲(演奏会前なので曲名は極秘。普通のクラシック)の編曲を試みた。原曲は管弦楽で、編曲後の編成はトランペット5人、ホルン1人、トロンボーン5人、チューバ2人の13パートの金管アンサンブルだ。原曲のパート数の方が圧倒的に多いので、これも大きな編成を小さくする作業になる。

ところで、具体的にどうやって作業するのかというと、まず、CD、インターネットなどで曲の演奏を探して聴きます。ついでにMIDIを探してダウンロードして、ノーテーションソフト(Allegro)で開き、コピーして貼り付ける・・・のではなく、楽譜になったMIDIを見つつ、ネットで見つけた演奏例を聴きながら、パート割りと音域、和声とバランスなんかを考えて、楽譜を書いていきます。ちなみに、大編成のMIDIやポケットスコアの類は、豊富なアナリゼ(曲の理論的解読)の時間があるならともかく、素早く作る場合はあまり役に立ちません。耳コピの方が早いです。編成を変えることは結局、音域の問題や、割り切れない人数の関係で、和音などは完全に考え直して書き換えるしかありません。その意味では、むしろ、単純化されているコード標記とか、ピアノのMIDIやピアノソロ楽譜なんかが役に立ちます。

参考にしたMIDIや演奏例のリンク先は、今示すと曲名がわかっちゃうので、来年1月の演奏会以降にページにシャーマンブラスのページにリンクを張るつもりです。ありがとうございました。

さてさて、どれぐらい時間がかかったのかというと、バラツキはありますが、平均して1時間の編曲作業で演奏30秒でした。1日8時間の編曲労働で演奏4分。1週間5日なら演奏20分です。交響曲にはちょっと足りないですね。モーツァルトへの道は厳しいですな。
ところで、編成が3倍になっても半分の時間で済むことがわかった。このデータ(?)から推測すると、30パートの編成だと1分を書くのに約3時間かかる。ホントかね?
071022pic1 071022pic2


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2007年10月 9日 (火)

編曲時間

編曲がかなり忙しくなっている今日この頃。
ところで、モーツァルトは1週間で交響曲を書き上げたらしいが、実際に可能なものだろうか?

※作曲と編曲について
「作曲の方が大変」と思う方もいるかもしれませんが、原曲と編成が異なる場合、作曲も編曲も作業量は変わりません。最初のメロディを自分が考えれば作曲、そうでなければ編曲です。モーツァルトは天才なので、作曲と言っても自分の頭の中のモチーフを編曲する作業だったに違いない。

というわけで、自分で実験してみた。
来月11月に、シャーマンブラスが小編成で演奏する機会があり、ここで使う曲を連続して編曲するという作業で、作業場所は自宅のコタツ。やっぱり音楽はコタツに限ります(by のだめ)

以下が、作業経過になります。
S071009pic1

途中に食べ物やタバコやビールを買いに行く時間やトイレなどの時間が含まれます。しかも、翌日が突然の休日出勤となり気が散っている状況で、時々メールが入ったり何だりで、必ずしも集中しての作業にはならなかったです・・・まぁ、モーツァルトも借金取りが来まくってたはずだから・・・ミュージシャンは大変なのね。

人数が同じ既存楽譜を移すだけなら演奏時間1分当たり15分ぐらいで可能。ということは1日8時間の間に、32分書ける。つまり、カルテットなら1日で普通に4楽章作品ぐらいは十分書ける。当時の管弦楽が20パートぐらいだったとすると、カルテットの5倍だから5日。週休2日として、ピッタリ1週間だ!
(もちろん私はモーツァルトと違ってパソコンを使ってますが、昔から省略の記号は沢山あり、実感として、スコアを書く時間は今も昔も同じだと思います。もちろん、パート譜作成は大幅に楽になりましたが。)

ただし、和音を書き直すなど色々考え始めると、和声の理想と言われる4人編成でも、相当時間がかかり、1分の演奏時間に1時間ぐらい編曲時間が必要だ・・・あっ、でも1日8時間で8分書けるなら5日で40分だ。大編成が面倒だけど、アウトラインさえ素早く構想できれば、何とかなりそうな雰囲気だ。

【結論】天才なら可能だ!

(追伸)私の実験は過去の実績に頼ったもので、アウトラインを改めて考えたわけじゃありません。断っておきますが、私は天才じゃありません。殆どの同業者もそうでしょう。相当細かいアウトラインまで一瞬で正確に構想できないと、五線紙を前にうなる時間が大部分の時間になり、写譜ペンやパソコンを動かしている時間より圧倒的に長くなってしまい、しかも、同時に他の仕事もあり、生活のためにはそっちの方が優先だったりして・・・と考えると、かなり大変なのだと思います。

【業務連絡】無茶言わんで下さい。

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