吹奏楽の編曲(その2) 金管の音域
金管楽器の音域です。
もちろん、教本や楽器のカタログ、或いは音域を解説したページの検索で調べることもできますが、金管楽器の場合は、木管楽器や打楽器と異なり、カタログスペックが出せないと考えた方が無難です。
市販の教本とちょっと違いますが、このぐらいがアマチュアの現実の範囲です。
楽譜は全てC譜です。
トランペット


上図の一番左が、一般的音域です。このぐらいは何も考えずに書いてもほぼ問題ないでしょう。
ハーモナイズは Close Voising(密集和音)が向きます。
以下、各論です。
(1)
教本には「出る」と書いてありますが、どうしても必要でなければ、やめた方が良いと思います。
(2)
ここは「低い」です。
必要な場合は普通に使え、(3)の流れで(2)に飛び出しても問題ありませんが、好んで使う必要はないと思います。
(3)
ここは「普通」です。
初心者や調子が悪い者(社会人だからしょうがないです)でも吹けますし、メロディーに、ハーモニーに、何かと使えると思います。ただし、トランペットが「ブラスの王者」としての本領を発揮するのはもっと上です。この音域のソロやパートソリの場合は、伴奏を薄めにした方が良いと思います。
(4)
ここは「ちょっと高い」です。
そして、(4)〜(5)の音域が、吹奏楽での「ブラスの王者」の出番になります。逆に、小さい音は出しにくいようで、メロディー(ハーモナイズ可)やキメ、格好良い伴奏なんかに向きます。
また、(4)以上の音域ばかりを繰り返させると、「高い」と苦情が来ることがあります。
(5)
ここは「高い」です。そして、この辺から奏者の技術差が出始めます。
(4)と合わせて「ブラスの王者」の音域なので、ここぞという場面での華やかなメロディーにどうぞ。小さい音には向きません。
ハーモナイズも一応可能です(吹奏楽だと苦情が来ることがありますが、ビッグバンドでは常識)。ただし、1番上を吹く人が音量を出せる人でないと、(4)の音域を吹いている2番以下に負けてしまうことがあります。また、この辺りからは、密集和音に拘らずに、2ndと5度以上離して1stを浮かせる手もあります。
※ただし、この音域は別名「魔の音域(造語)」と呼ばれています。調子が悪いと外す確率が高くなります(特にF#)。(6)が出せる人には、実は(6)より危険な音域かもしれないということを、頭に置いて下さい。場合によっては、敢えて(6)を頑張って出してもらう方が安全なこともあります(おっと・・・)。
(6)
ここは「要相談」です。
出る人にとっては「見せ場」でもあるし、出ない人は全く出ません。速いメロディはやめた方が良いです(できる人はできる)。
予め技量がわからない吹奏楽団の為に書く場合は、やめた方が良いです。
もちろん、小さい音は出ません。
ホルン


上図の一番左が、一般的音域です。低い音を使うことはあまりないと思うので、特に示しませんでした。
ハーモナイズは Close Voising(密集和音)が向きます。
以下、各論です。
(1)
教本には「出る」と書いてありますが、どうしても必要でなければ、やめた方が良いと思います。
(2)
ここは「低い」です。
特に苦情が来ることはありませんが、トロンボーンなどに消されてしまいます。
(3)
ここは「普通」です。
(2)と合わせて、奏者が吹きやすいみたいです。ただし、あまり通らず、柔らかいメロディーや伴奏向きです。ホルンが本領を発揮するのはもっと上の音域です。
(4)
ここは「ちょっと高い」です。
そして、最も効果的な音域になります。メロディー、聞こえる対旋律、伴奏の後打ちなど、何でも使えます。
また、(4)以上の音域ばかりを繰り返させると、「高い」と苦情が来ることがあります。
(5)
ここは「高い」です。そして、この辺から奏者の技術差が出始めます。
(4)と合わせて最も効果的な音域になり、周りが別なことをやっていても、鋭く通る音を出すことができます。ここぞという場面での華やかなメロディーや伴奏にどうぞ。小さい音には向きません。
ハーモナイズも一応可能ですが、マーチの後打ちのようなのには向きません。場合によっては、ユニゾンにするか、上下を分けてしまって2音にするなどの工夫をして使うと良いかもしれません。
(6)
ここは「要相談」です。
出る人にとっては「見せ場」でもあるし、出ない人は全く出ません。
予め技量がわからない吹奏楽団の為に書く場合は、やめた方が良いです。
もちろん、小さい音は出ません。
※ホルンは難しい楽器で、ある程度発音ができる人でないと、普通の吹奏楽の楽譜を吹いて楽しむことすらできないため「吹ける=それなりに上手い」と考え、一般的にそれほど手加減は必要ないと思います。
トロンボーン


上図の一番左が、一般的音域です。このぐらいは何も考えずに書いても問題ないでしょう。
(吹奏楽の多くの人が持っている太管テナーバス(F管付き)を想定しています)
ハーモナイズは Open Voising(離散和音)に耐えます。
なお、ユーホニウムもこれに準じます(本当は低い方が違うけど、まぁ、低い音を使うこともないと思うので省略します)。ただし、ユーホニウムは音域の苦情が少なく、広い音域のメロディーを振って大丈夫です。
以下、各論です。
(1)
バス・トロンボーン用と考えると良いでしょう。そして、今までの金管と違って低音でバリバリ行けます。
吹奏楽の普通の人が持っている太管テナーバス(F管付き)の場合は出すことができますが、B♭シングルの人がいたりすると、出ない音があります(全部ではない)。
(2)
ここは「低い」です。
(3)よりも僅かに弱くなりますが、十分フォルテ演奏が可能です。細管の人だと、かなり弱くなります。
(3)
ここは「普通」です。
トロンボーンは「普通」が広いのが特徴で、この中音域でガンガン行けます。下に向かってクレッシェンドなどの低音技も可能です。
この音域はトロンボーンの独壇場で、しかもそんなに人数居れる音域じゃないので、吹奏楽や金管アンサンブルだとホルンが上に押し出されてしまいます。
(4)
ここは「ちょっと高い」です。
実は運動性が高く、ジャズの人なんかがソロで速いフレーズを吹く音域なんですが、吹奏楽にとっては「ちょい高」な感じがして、人によっては音が細くなり始めます。和声の関係で上に押し出された1stや2ndの場合は仕方ないですが、特段必要がなければ避けた方が無難かもしれません。
また、(3)以上の音域ばかりを繰り返させると、「高い」と苦情が来ることがあります。
※ちなみに「魔の音域(造語)」です。(3)以下に比べて音程とりにくいみたいです。
(5)
ここは「高い」です。
そして、この辺から奏者の技術差が出始めます・・・というレベルではなく、もう相談した方が無難です。かなり音程がとりにくいみたいです。あっ、相談すると確実に「やめてくれ」と言われるので、部分的に、多少の外しを覚悟で書く感じでしょうか?
(6)
ここは「要相談」です。
使いこなす人もたまにいます、ぐらいのレベルでやめた方が良いです。もちろん、小さい音は出にくいのですが・・・なんて言うまでもなく、大きかろうが小さかろうが、この音域を使いこなす人は相当上手く、何でもありだと思います。
チューバ

図の一番左が、一般的音域です。この音域でボンボンやって問題ありません。
楽器のメカニズムによって音域が違いますが、普通の人が持っているB♭管を想定します。
以下、各論です。
(1)
十分ボンボンができますが、全体がフォルテの場面だと、この音域の低めの方だと、1人では低音を支えきれません。どうしても低い音でないと駄目な場合は、チューバが複数居るときは1人をオクターブ上にするとか、他の低音楽器とのコンビで活用した方が良いでしょう。
なお、殆どの楽器(4ロータリー)で、もっと低い音が出せます。この音域を下に飛び出しても殆ど問題ありません。
(2)
ここは「普通」です。低音の長い音に、ボンボンに、どんどん使って下さい。
(3)
ここは「ちょっと高い」です。が、普通にボンボンOKです。
ただ、(3)以上の音域ばかりを繰り返させると、「高い」と苦情が来ることがあります。
(4)
ここは「要相談」です。
あまり使うことがないと思いますが、予め技量がわからない吹奏楽団の為に書く場合は、やめた方が良いです。
ただし、上手い人の中には「高音を使いたくて使いたくて仕方がない」と、燃える闘魂を内に秘めている人も居るので、ソロなどで相談してみると面白いかもしれません。
※チューバは持久力があります。マーチや何とか序曲の類いの、ずっとフォルテで打楽器が鳴っているような曲の場合、ずっとボンボンを担当させても苦情は来ません。万一苦情が来たら「じゃぁ、メロディやって」と言えば、黙って帰って行くでしょう(笑)。
木管と打楽器の音域は省略します。
簡単に説明すると、打楽器とサックス(カタログ外の高音要相談)は楽器のカタログ通り、フルートは真ん中のCから上3オクターブあって高い音ほどフォルテ向きで、全体フォルテの場面では下の1オクターブは殆ど役に立たない、オーボエは真ん中のCから上約2オクターブで、2オクターブ目の方が音がきれい、楽器の種類を問わず、フィンガリングは音域がどうだろうが文句は言わせない。以上です。
・・・クラリネット忘れた・・・ですが、これはちょっと微妙なので、次回に回します。
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